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トクヤマ、AGCにパネルの廃ガラス供給

再資源化に本格参入へ

同社は低温熱分解による廃棄パネル処理法の確立を目指す。写真は熱処理後の純度の高いガラス

化学メーカーのトクヤマは2024年3月25日、廃棄された太陽光パネルを分別し、ガラス大手のAGCに廃ガラスを供給したと発表した。パネルの大量廃棄を見据え、トクヤマは25年度にも廃棄パネルの処理業に参入する構えだ。

同社は、AGCの実証試験用に太陽光パネル約400枚を分解・分別して5t分の廃ガラスを供給した。AGCは3月18日、供給された廃ガラスを原料に、茨城県神栖市内の工場のガラス製造窯でフロート板ガラスの製造に成功した。

トクヤマの廃棄パネルの処理は、500℃前後の熱で樹脂を分解し、パネルをアルミフレームやバスバー、セル、ガラスなど再資源化が可能な部材に分別する仕組み。熱処理の技術が高く、純度の高い廃ガラスに分別できるのだ。

同社環境事業企画グループの下村善一郎主幹は、「廃ガラスの純度が高ければ、その後のガラスの再資源化が容易になる」としたうえで、「太陽光パネルは重量の約6割がガラスだから、パネル用ガラス再資源化の体制構築は重要なのだ」と話す。

同社はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の実証事業に採択され、19年に北海道南幌町に『太陽光モジュールリサイクル実証試験施設』を設置した。低温熱分解による廃棄パネル処理法の確立を目指している。

同社の下村主幹は、「25年度までに廃棄パネル処理業に参入するつもりだ」と展望を述べた。

熱処理後の太陽電池セル

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