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米国が太陽電池に輸入制限国外産セル・パネルに関税30%

2018.03.09

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 1月22日、米政府は米通商法201条に基づき、米国外産の結晶シリコン型太陽電池に対し緊急輸入制限を発動すると発表した。これを受け、中国や台湾のパネルメーカーは対抗して米国内での工場建設を表明。米市場がざわついている。(米国在住ジャーナリスト・モベヤンジュンコ)

 トランプ政権は1月22日、米国外で生産された結晶シリコン型の太陽電池セルと太陽光パネルに対して、4年に亘って関税を課すと発表した。1年目はセルとパネルに30%の関税を課し、以降は毎年5%ずつ引き下げ、4年目には関税を15%とする方針だ。各年2.5GWまでは太陽電池セルを課税対象外とするほか、アモルファスシリコン型やCdTe型、CIGS型などの薄膜太陽光パネルに加え、電卓や腕時計などに搭載される民生用と、独立電源用の出力100W以下の結晶シリコン型太陽電池も課税の対象外とする。
 1月23日に米通商代表部が発表した概況報告書『ファクトシート』によると、当初は課税対象外だった北米自由貿易協定加盟国のメキシコとカナダに加え、韓国、タイ、フィリピンも、今回課税対象国となった。
 WTO(世界貿易機関)は開発途上国を原産地とする品目を輸入する場合、関税率を通常より低く設定するかまたは関税を課さない一般特恵関税制度(GSP)と呼ばれる措置を定めている。今回の輸入制限では、GSPが適用される国でも、タイとフィリピンは米国の太陽電池セル・パネル総輸入量のうち3%、ブラジル、南アフリカ、トルコなどは9%を超えると課税対象となる。タイとフィリピンは3%を超えるため、関税対象となった。

中・台メーカー、米国で工場建設へ

 この緊急輸入制限を受けて、太陽電池世界最大手の中ジンコソーラーは、米国内に生産工場を建設すると発表。投資額は4億1000万米ドル(約426億円)で、フロリダ州に800人の雇用を創出する予定だ。台湾トップのパネルメーカー、ユナイテッドリニューアブルエネルギーも、米国での工場建設を検討している。同社は、台湾の太陽電池大手ジンテックと、台ネオソーラーパワー、台ソーラーテックの3社出資で今年中に誕生する新会社だ。
 米国の企業は各社異なる動きを見せている。貿易措置に反対してきた米国太陽エネルギー産業協会は、「製造業を含む約2万3000人の米国人の雇用が失われかねない。太陽光発電への投資が遅延し、破綻する懸念もある」と憤る。米サンパワーは、本社こそ米国だが、セル・パネルは主にフィリピンで生産しているため、今回課税を受けることになった。同社のトム・ワーナーCEOは、輸入制限の決定を「残念」とし、「当社の高効率パネルは安価な結晶系パネルとは異なる。当社のパネルは課税から免除されるべきだ」と主張。同社は今後も課税の免除を要求し、結果が分かるまで計画していた2000万米ドル(21・2億円)の米国内の工場拡大を一時中止するという。
 一方、米国の太陽電池メーカー、ソラリアは、カリフォルニア州に太陽電池セル工場を構えており、工場拡張を目的に2300万米ドル(24・4億円)の資金を調達。テキサス州でパネル生産を手掛けるミッションソーラーもパネル生産を強化すると発表した。米国の十数社の結晶系パネルメーカーは小規模な企業が大半だが、なかには、ソーラーワールド・アメリカズやテスラといった大会社もある。テスラは、ニューヨーク州に年産能力1GWの太陽光パネル工場を建設。17年夏からパナソニックの太陽電池セルを調達してパネル生産を開始した。17年末には建材一体型のセル生産を開始し、米国内でセル・パネルの生産を実現した。輸入制限措置では、2.5GW分のセルは関税の対象外となるが、これは米国のパネルメーカーが海外からセルを調達できるようにするための措置である。

住宅用太陽光は影響軽微!?

 トランプ政権が課税を決定した後、カリフォルニア州サンディエゴ市で住宅用太陽光発電設備を販売・施工するパロマーソーラーは、「輸入制限によってパネルの値段は上がるが、当社には大きな倉庫がある。現在の価格でパネルを確保できる」とラジオで放送。他の施工業者も、「早く設備の購入を」と商社に宣伝しているが、住宅用パネルにはそれほど影響がなさそうだ。市場調査の米GTMリサーチによると、太陽光パネルの費用割合が大きい発電事業用の太陽光発電所では、18年は事前の調達がないと供給が厳しくなるが、太陽光パネルの費用割合が比較的低い住宅用太陽光発電は関税の影響をそれほど受けないとしている。複数業者の見積もりをウェブサイト上で行う米エナジーセイジによると、1年目の関税はWあたり10〜12米セント(10・6〜12・7円)で、平均的な家庭に設置される太陽光発電設備の価格に換算すると3〜5%の値上げ。その後下降し、4年目には関税がWあたり4〜5米セント(4・25〜5・31円)だから、設備価格換算で値上げは2%以下になるとしている。
 緊急輸入制限措置は18年2月から4年に亘る計画だが、一部では早めに打ち切られるとの予測もある。02年3月にブッシュ政権が鉄鋼製品に対する輸入制限を発動した際、WTOが米国の緊急輸入制限措を協定違反と認定。ブッシュ大統領は05年3月までの3年の期限を前に03年12月で輸入制限措置を打ち切った経緯があるからだ。実際、韓国は関税を不服としてWTOに提訴しており、北米自由貿易協定加盟国のメキシコとカナダも同様にWTOに提訴する構えだ。WTOの判断に加え、免税対象技術も不透明なため、まだまだ米国市場の行方から目が離せない。

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