[特別対談第25回]O&Mビジネスの課題 CO2O酒井正行社長×ESI土肥宏吉社長

2018.06.07

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 ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長による特別対談。お相手は、太陽光発電所の評価・診断に強いO&M(保守・管理)企業、CO2Oの酒井正行社長だ。2回目の登場となる今回はO&Mビジネスの課題について話し合った。

土肥氏●太陽光発電設備のO&Mは、低圧太陽光発電所向けも、高圧・特別高圧太陽光発電所向けも、戦略的に進めていかなければ、事業化は難しいように思います。
 とくに、低圧太陽光発電所向けのO&Mは、費用を抑えなければならないので、エリアを絞り、数を増やして、まとめて点検するなど、効率を追求していかなければ採算は合わないでしょう。高圧・特別高圧太陽光発電所向けのO&Mも、買取り価格が下がっているので、O&M費用の低減要求は一層強まります。限られた維持費のなかで、保険に加入し、メンテナンスも実施していくためには、メニューを上手に組むとともに、やはり事業者の方々にO&Mの価値を理解してもらわなければならないでしょうね。そのためにはパフォーマンスの向上が鍵だと思います。

酒井氏●土肥社長がおっしゃるように、O&Mビジネスには課題が山積しています。とりわけ、特別高圧太陽光発電所向けのO&Mに関しては、設備のケアに終始し、本来のバリューアップになっていないことが大きな課題だと感じています。
 太陽光発電所は収益性すなわち効用が重視されるべき資産なので、本来は資産の価値をどう高めていくか、アセットマネジメントの観点から戦略的にO&Mを実施していかなければならないのですが、いまだに修繕や保守といった考え方が強く、隔たりができてしまっているように思えてなりません。

土肥氏●確かに、太陽光発電所を資産として捉える慣習が根づかないと、発電事業者は何のためにO&Mをやるのか、疑問を持つようになり、O&M業者も限られた予算のなかで簡易なチェックだけをするような形に陥ってしまいます。しかし太陽光発電所は一方で電力インフラですから、O&M業者にはインフラを守るという使命もあります。
 O&Mの合理化や費用低減といった実務上の課題もさることながら、資産を運用するうえで、O&Mは戦略的に取り組むべきものであるという概念を事業者に示していくことも、O&Mビジネスの課題として重要な要素なのでしょうね。

酒井氏●結局、発電事業はリスクのコントロールなのですが、O&Mで補えるリスクと、設計や施工でしかコントロールできないリスクがあります。たとえば、造成計画や排水計画の不備です。実際、特別高圧太陽光発電所で多くみられるのですが、これを放置しておくと、雨水が大量に流れて斜面が崩れるなど、様々なトラブルを引き起こす大きなリスクになり得るのですが、この場合、O&M会社ではリスクをヘッジできません。造成からやり直さなければならないのです。
 そこで、我々は最近、建設プロジェクトの全般を運営管理するCM(コンストラクション・マネジメント)を始めました。施工段階からリスクを可視化させていただくことによって、将来のリスクを極小化できればと考えているのです。
 とくに低圧太陽光発電所向けのO&Mに関しては、上限があるなかで、O&Mには費用をかけられないのが実情です。いかに後で手がかからないように、しっかりと建設できるかが重要だと思います。

土肥氏●事業者の方々はできるだけ初期投資を抑えようとしますから、極力費用を削減するために、EPC(設計・調達・建設)企業の設計が甘くなりがちなのでしょう。そう考えると、CMの存在は不可欠ですね。
 私がよく聞く話は、そもそも設計図書がないという問題です。せっかく太陽光発電所のセカンダリー市場が立ち上がっても、商品を鑑定するための最低限必要な書類がなければ、当然ながら取引は成立せず、市場は活性化しません。
 
酒井氏●そうですね。以前、あるO&M会社から引き継いだ特別高圧太陽光発電所は、記録がまったくありませんでした。点検表もなければ、保守・管理の記録すら残っていないので、唖然としたのを覚えています。不動産物件の取引を見れば明白ですが、書類が残っている物件と、そうでない物件とでは、資産価値が大きく違います。
 こうした問題もあって、我々は、『太陽光発電事業の評価ガイド』土木・構造ワーキンググループの主査を務めさせていただき、来月にも発効される予定です。一つひとつ課題を解決しながら、市場の健全化に寄与できればと思っています。

土肥氏●まだまだ課題の多い日本のO&Mですが、裏を返せば発展の余地が多く残されているともいえます。英知を結集して、O&Mの課題を克服していかなければなりませんね。

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