屋根材一体型に延焼の恐れ 消費者庁が住宅用太陽光火災を調査

2019.02.28

PVeye

 消費者庁は1月28日、住宅用太陽光発電の火災事故報告書を公表。裏面に鋼板が敷かれていない屋根材一体型パネルについて、被害拡大の恐れがあると指摘、速やかな対応を求めた。(PVeye記者・楓崇志)

 消費者庁の消費者安全調査委員会は、住宅用太陽光発電設備から発生した火災事故に関する事故等原因調査を2016年10月より実施。このほど調査報告書を公表した。
 調査対象の事故は、08年3月から17年11月までに事故情報データバンクに登録されていた127件のうち、製品評価技術基盤機構(NITE)による原因調査中であったもの、原因不明とされていたもの、NITEに登録されていなかったものなどを除いた72件。なかでも、太陽光パネルまたはケーブルから発生した13件の火災事故について、生命に係わる重大事故につながる可能性があることから、重点的な調査を行った。
 今回の報告書で問題視されたのが、太陽光パネルと可燃物であるルーフィングとの間に不燃材料である鋼板を付帯していない『鋼板等なし型』と呼ぶものである。太陽光パネルをルーフィング上に設置しているため、発火した場合、屋根の下地である野地板に延焼する可能性を指摘。すでに設置済みの鋼板等なし型への再発防止策を提示した。
 具体的には、製造業者に対し、①住宅の火災に係るリスクアセスメントを行い、必要があると認められる場合には、結果に基づいた対応を早急に実施。②他の設置形態への変更を所有者へ促す。③保証期限を超えた設備の所有者にリスクを説明したうえで、応急点検の実施を促進するよう求めた。
 鋼板等なし型とは、聞きなれない呼び方だが、いわゆる屋根材一体型や瓦一体型の一種であり、既築住宅向けに多く採用されている屋根材の上に架台を取り付ける屋根置き型ではない。消費者安全調査委員会によると、住宅用太陽光発電設備の累積設置棟数のうち、鋼板等なし型は約4.5%、10.7万棟を占めるという。
 報告書では、新たに設置される住宅用太陽光発電設備における太陽光パネルやケーブル発火への対策のほか、パワーコンディショナまたは接続箱から発生した火災事故の再発防止策にも言及。保守点検ガイドラインの見直しも含めた対応を求めたうえ、住宅用太陽光ユーザーに対しても、売電を行う場合、事業者として設備点検の義務を負っていることを訴求すべきとした。
 報告書の公表を受け、太陽光発電協会は1月31日に記者会見を開き、「(住宅用太陽光発電設備に係わる)火災事故等の発生率は10ppm(100万件のうち10件)程度」としたうえで、「再発防止策の対象である鋼板等なし型は累計設置棟数全体の4.5%。対象設備でも事故が一切発生していない型式もあり、対策済みのメーカーもいる。冷静に行動してほしい」と強調。「現時点で協会として対象設備に関する調査を行う予定はない」とした。
 太陽光発電設備メーカーやハウスメーカーは、ホームページ上に対象製品や実例、対応策を公開しているが、対象となる住宅用太陽光発電設備の所有者に情報が行き届かない可能性もある。〝卒FIT太陽光〞が現れる19年11月が迫るなか、販売・施工会社が対象設備の所有者と接触する機会もあるはずだ。業界をあげた周知徹底が望まれる。

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