ESI土肥社長が語るドイツ再エネ最前線

2019.08.30

PVeyePR

 再び世界の最先端を行くのか。ドイツの再エネ市場が覚醒しつつある。ドイツの事情に詳しいヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長がドイツのトレンドを語った。

 ドイツ市場ではいま、蓄電池の導入が急速に拡大しています。世界各国から蓄電池メーカーがどっと押し寄せ、競争が激化し、蓄電設備の価格が下がっていることも要因のひとつですが、何よりもドイツは電気代が非常に高いのです。太陽光発電設備と蓄電設備を購入して自宅で自家消費する方が遥かに経済的なのです。
 もっとも、ドイツでは以前、住宅用の太陽光発電まで全量売電する利用法が基本でしたから、いざ既設の太陽光発電設備で効率よく自家消費しようとすると、蓄電設備を活用する必要があったとも言えます。政府も積極的に蓄電設備の初期導入費を助成する補助金制度を実施したので普及に弾みがつき、いまや住宅用太陽光発電設備の所有者の実に60%以上が蓄電設備を導入していると言われています。
 このように、太陽光発電が住宅用の自家消費用途で導入量が再び伸び始めているのが、ドイツ市場の特徴ですが、一方でドイツを始め欧州では太陽光発電所の建設費が驚くほど下がっています。今年7月下旬、ポルトガルの入札で世界最安値の売電単価をさらに更新したというニュースがありました。価格は1MWhあたり14.8ユーロですから、日本円にしてkWhあたり1.74円です。ポルトガルは土地の造成費や日照時間など日本と異なるので、安易に比較はできませんが、日本の諸条件を加味すれば恐らく4.5円程度で売電するイメージではないでしょうか。
 この安価な再生可能エネルギー電力は、流通の常識も変えようとしています。ドイツでは、再エネ電力を電力卸売市場へ販売するFIP(フィードインプレミアム制度)の仕組みが整っていますが、電力卸売市場では再エネ電力がゼロユーロの評価額になる現象が起きているのです。つまり時間帯によって再エネの供給量が需要量を超えているというわけです。
 ドイツではFITが2000年にスタートしていますから、間もなく〝卒FIT〞の格安電力が市場に出てきます。数年後にはそれこそゼロ円の電力が大量に流通し始めると、これは大きな波紋を広げるでしょう。
 そこでドイツではここ最近、新しい試みが生まれています。ゼロ円の再エネ電力を使って水素を生成し、水素としてエネルギーをためようという取り組みです。まだ実証試験段階のようですが、この水素燃料化の技術が実用化されると、非常に面白いですね。
 水素ですから、燃料電池を介して電力や熱に変換できますし、燃料電池自動車が普及すれば、それこそ車の燃料としても利用できます。ドイツの再エネ市場は次のフェーズに入ったと言えるのではないでしょうか。


ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
〒100-6512東京都千代田区丸の内1-5-1新丸の内ビル12階
TEL:03-6757-9065
FAX:03-6757-9066
http://www.e-solar.co.jp

2021.02.01

PVeye

21年度のFIT入札、年4回開催へ

 2021年度のFITにおける入札制の詳細が固まった。上限単価を事前に公表し、年4回実施する。(本誌・楓崇志)

 2021年1月12日、第66回調達価格等算定委員会が開か続きを読む

2021.02.01

PVeye

JEPX価格20倍超急騰に悲鳴続々新電力月数十億円の逆ザヤ

 日本卸電力取引所のスポット価格が急騰した。平時の実に20倍以上に跳ね上がり、新電力各社が悲鳴を上げている・1ヵ月で数十億円の逆ザヤが発生したところもあるようだ。(本誌・岡田浩一)
続きを読む

2021.01.04

PVeye

21年度のFIT議論開始 2年分の売価決定へ

 2020年11月27日に開かれた調達価格等算定委員会で21年度の太陽光発電のFIT売電単価の議論が行われた。22年4月1日の改正法施行を控え、21年度は現行法最後の年だ。入札対象外の事業用太陽光と住続きを読む

2020.12.01

PVeye

20年度上期FIT入札 254件368MWが落札

 低炭素投資促進機構は2020年11月6日、20年度上期のFIT入札の結果を公表した。254件、368MWが落札した。最低落札単価はkWhあたり10.00円で、加重平均落札単価は同11.48円だった。続きを読む

2020.11.01

PVeye

市議会で6度見送りも 美作市長パネル税に意欲

 岡山県美作市が導入を検討している太陽光パネル税。市議会では6度に亘って見送りとなったが、萩原市長は導入に意欲的だ。一方で事業者からは根拠を求める声が上がる。(本誌・岡田浩一)

続きを読む

2020.09.01

PVeye

再エネ促進法の議論開始 未稼働特高案件に配慮

 2022年4月の施行に向けFIPを含む新法の設計が始まった。認定失効制における未稼働案件の取扱いを議論し、法施行までに工事計画届出が受理されれば、特高案件の認定は失効しない見通しを示した。(本誌・楓続きを読む

2020.08.01

PVeye

九州豪雨で太陽光発電所が損壊

 2020年7月上旬に発生した豪雨が九州を中心に全国で猛威を振るい、太陽光発電所も被害を受けた。(本誌・平沢元嗣)

 2020年7月18日、熊本県人吉市を訪れると、痛まし続きを読む

2020.08.01

PVeye

過熱しない!? 卒FIT争奪戦

 卒FITの太陽光発電設備を持つ世帯が登場して半年余り。当初は卒FIT設備由来の太陽光電力をめぐる獲得競争が過熱すると思われたが、意外にも盛り上がっていない。(本誌・楓崇志)

続きを読む

2020.07.01

PVeye

FIT法改正案成立 2022年4月施行へ

 FIT法の改正を盛り込んだ『エネルギー供給強靭化法』が2020年6月5日に成立した。施行期日の22年4月1日に向け、詳細な制度設計が本格化する。(本誌・楓崇志)

 今国続きを読む

2020.05.01

PVeye

新型コロナ対策 中小支援に80兆円

〝コロナショック〟で経営が悪化した中小企業を政府が支援する。事業規模80兆円の経済対策を講じる方針だ。補助金の拠出や融資制度の創設、税金の減免措置を予定している。(本誌・平沢元嗣)
続きを読む