日出町メガソーラー問題泥沼化町議も民事訴訟を検討

2019.11.01

PVeye

 大分の再エネ会社、日出電機(渡邉浩司社長)がメガソーラー建設に反対していた町議会議員らを刑事告訴した問題で、議員側も、逆に日出電機を提訴する考えを示した。(本誌・平沢元嗣)

 日出町メガソーラー問題は、日出町真那井区に出力3MWと2MWの太陽光発電所の開発計画が持ち上がった2014年に始まる。両発電所のEPC(設計・調達・建設)を受注した日出電機が発電事業者と住民説明会を行ったところ、強い反対に遭ったのだ。
 反対の急先鋒に立ったのが真那井区に住む工藤健次議員だった。「両発電所が小高い丘の傾斜地に建設されると、丘の下の住民が土砂崩れの危険に晒される」とし、調整池に雨水をためて1.5㎞南の別府湾まで水を移送するよう訴えた。
 日出電機は、排水のために別府湾に続く2本の水路のうちいずれかを利用したいと申し出て計8回説明会を開催したが理解を得られなかった。結局日出電機は1基目を16年9月に、2基目をその1年後にそれぞれ完工。排水は、約9000tの貯水量を持つ調整池を1億円弱かけて整備し、水路に少しずつ流すことにした。
 すると、2基目の稼働後から、工藤議員らが雨天時には発電所構内に複数回侵入し、調整池のバルブを閉めて水路に水を流させない行為を始めた。そこで、日出電機は9月18日、工藤議員や同町真那井区の小石逸雄区長ら4名を建造物侵入の容疑で杵築日出警察署に刑事告訴したのである。
 これに対し、工藤議員は、「水を流したら危険なので正当防衛のようなもの。そもそもこの発電所の建設を地元は許可していないのだから、水を流すこと自体おかしい」と強調、さらに、「日出電機は申請の不備や違反が多い。水路は修繕すると約束していたのに履行していない」として民事訴訟を起こす考えを明かした。
 工藤議員の主張は、町が定める開発行為等指導要綱に「事業者または工事施行者は開発行為の内容、効果等について地元関係者に周知し、調和を図らなければならない」とあるにもかかわらず、「日出電機は住民の同意がないまま建設したため、条例違反だ」というもの。
 一方の日出電機の渡邉社長は、「用地は非農地証明を取得済みで、開発に際し林地開発許可など特段手続きが必要のない土地だ。指導要綱に関しても、住民が1人でも反対したら建設不可という意味ではない。反対しているのは一部の方だ」と説明する。

一括で3000万円要求

 両社の対立を一層深刻にしたのは、金銭をめぐる問題だ。2基目の発電所が完工する前、町が間に入り、区と事業者らで協定を結ぶ話が持ち上がる。その際、工藤議員らは水路の利用料として一括で3000万円支払うよう要求。工藤議員は、「会社が20年継続するか不透明なので一括で支払うのは当たり前」とし、3000万円の根拠については、「日出電機側が年150万ずつ、20年で3000万円支払うと提示してきた」と述べる。
 一方、日出電機の渡邉社長はこれを否定。「当初水路を使わせていただくので毎年30万円ずつを区に支払うという提案をしていたが、なぜか3000万円払うよう求められた」。
 結局この協定はいまも結ばれていない。渡邉社長は「地元の方だからできるだけ仲良くしたいと思い、我慢してきたが、限界だ」と漏らす。
 工藤議員も、「太陽光発電の普及に反対しているわけではない。むしろ当初は太陽光を推進する日出電機を応援していたが、建設する場所を選ぶべきだ」と説く。
 メガソーラー訴訟は泥沼化し、和解の糸口は見えない。

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