WTO、カナダ・オンタリオ州のFIT優遇措置を違反認定へ

2013.05.07

PVeye

 経済産業省は5月7日、世界貿易機関(WTO)が日本の申立てに基づき、審理してきたカナダ・オンタリオ州の再生可能エネルギー固定価格買取制度における州産品優遇措置に関する紛争処理上級委員会の報告書を5月6日(ジュネーブ時間)に公表、オンタリオ州の州産品優遇措置について、WTOのGATT(関税及び貿易に関する一般協定)第3条(内国民待遇義務)等に違反するものであるとする日本の主張をおおむね認める判断を示したと発表した。WTO紛争案件として、再生可能エネルギー分野における自国産品優遇措置がWTO協定違反と判断された初のケースとなる。上級委員会報告書は、5月24日に開催されるWTO紛争解決機関会合において、正式採択される見込みだ。
 カナダ・オンタリオ州は2009年5月に再生可能エネルギー(太陽光・風力)による電力の固定価格買取制度(FITプログラム)を導入したが、そこでは、一定割合以上の付加価値(原材料調達、組立等)を同州内で付加した発電設備の使用を義務付けるローカル・コンテント要求が買取条件として含まれていた。そこで日本は2010年9月、太陽電池モジュールなどを生産する日本企業を含む国外企業がオンタリオ州向けの輸出において不利な扱いを受けているとし、FITプログラムにおけるローカル・コンテント要求がGATT第3条、TRIMs第2条、及び補助金協定第3条等に違反するとして、WTO協定に基づく協議要請を行った。しかし、カナダとの協議で満足できる解決が得られず、2011年6月には、同件の審理を行うWTO紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請。その後、2011年7月にパネル設置、2012年3月及び5月にパネル会合が開催された。なおEUも2011年8月に協議要請を行っており、日本とともにパネル会合に当事国として参加している。
 パネルは、2012年12月19日に報告書を公表、オンタリオ州の州産品優遇措置について、WTOのGATT第3条(内国民待遇義務)等に違反するとの主張をおおむね認める判断を示したが、2013年2月5日、カナダは判断を不服として上訴(WTO紛争処理上級委員会への申し立て)。これを受け、日本及びEUも同月11日、パネル報告において主張が認められなかった論点について上訴していた。その後、2013年3月に上級委員会会合が開催され、今回の報告書が公表された。
 今回公表された報告書は、WTOの関連協定に基づき、買取条件におけるローカル・コンテント要求を撤廃すべきという主張をおおむね認め、カナダがGATT第3条及びTRIMs第2条等に違反して不当な州産品優遇を行っているという判断を示したもの。
 GATT第3条及びTRIMs第2条(内国民待遇義務)違反について、上級委員会は、カナダのFITプログラムにおけるローカル・コンテント要求が、TRIMs附属書で禁止されている国内産品の購入や使用の要求にあたり、州産品を不当に優遇しているとして、GATT第3条及びTRIMs第2条の内国民待遇義務に違反すると認定したパネルの判断を支持。また、内国民待遇義務の例外となる政府調達行為にも当たらないとしてカナダの反論を退けた。
 補助金協定第3条違反(禁止補助金)については、補助金協定第3条では、輸入産品よりも国内産品を優先して使用することを条件として交付する補助金(国内産品優先補助金)を禁止しているが、パネル報告書は、補助金認定の要件となる利益の存在(FITプログラムが、参加する再生可能エネルギー発電事業者に、補助金協定に規定される「利益」を供与しているかどうか)が立証されていないとして、補助金協定違反は認定しなかった。上級委員会も、「利益」が与えられているかどうか、分析を完了するための事実が不十分であるとして、補助金協定違反を認定していない。
 これらの認定により、上級委員会はカナダに対し、WTO協定に整合しないと認定された措置をGATT及びTRIMsに整合的なものに是正するように勧告した。

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