アイ・グリッド、シーパワーとオンサイトPPA事業で協業開始
PPA最大手のアイ・グリッドと再エネ開発・運用のシーパワーが協業を開始した。両社の強みを活かしてオンサイトPPA事業を広げていく。(本誌・川副暁優)

シーパワー椎原祥一朗社長(左)とアイ・グリッド・ソリューションズ秋田智一社長
シーパワーは、余剰電力が多く発生してオンサイトPPA(電力売買契約)が成立しにくい顧客に対し、アイ・グリッド・ソリューションズの余剰電力買取りサービスを紹介する。アイ・グリッドは余剰電力を買取りつつPPAを提供し、シーパワーはEPC(設計・調達・建設)などを請け負う。両社は、年間10MW超、3年で30MW以上に及ぶオンサイト太陽光発電設備を開発していきたい考えだ。
アイ・グリッドの秋田智一社長は「開発のリソースをかけずに発電設備を運営できるので、ありがたいことだ。これにとどまらず、協業の枠を広げていきたい」と語る。
シーパワーの椎原祥一朗社長は、「太陽光パネルを多く設置できる施設でも、電力消費量が少なく、余剰電力が多く発生する場合はPPAを成立させることが難しいという課題があった」としたうえで、「今回の協業によって顧客への提案の幅が拡がる。当社にも十分メリットはある」としている。
アイ・グリッドは、独自に開発したAI(人工知能)搭載のプラットフォームによって、施設の余剰電力量を予測し、電力を他の施設に融通する余剰電力循環モデルを構築。余剰電力が多く発生する施設にもPPAで設備を導入できる。2017年からオンサイPPAを展開し、25年8月時点で1200ヵ所以上の施設に計300MWに及ぶ太陽光発電設備を導入した。
シーパワーは12年に第二電力として設立され、19年にオンサイトPPAを、24年にオフサイトPPAを始めた。ただ他のPPA会社とは異なり、複数のPPA案件をSPC(特別目的会社)で運営し、やがてそのSPCを売却する。13年に組成した第1号SPCから数えて直近のSPCは14号目にあたり、その間、太陽光発電設備を2445ヵ所、出力換算で計242MW開発してきた。18年には長州産業の傘下に入り、25年6月に完全子会社となった。同年10月に商号をシーパワーに変更した。
オンサイトPPAに加え、電力小売りを展開するアイ・グリッド。シーパワーはオフサイトPPAを進めつつ、EPCやO&M(管理・保守)まで手掛けている。両社の協業には、発展の余地がありそうだ。

左から、アイ・グリッド・ソリューションズ加田木太朗取締役執行役員、アイ・グリッド・ソリューションズ秋田智一社長、シーパワー岡本晋会長、シーパワー椎原祥一朗社長





