三井住友建設、洋上浮体式太陽光発電の実証成果公開
三井住友建設はこのほど、洋上浮体式太陽光発電設備の実証試験の成果を公表した。洋上でも安定して発電するほか、夏場は水面の冷却効果で発電量が増えることを確認した。2030年度までに実用化を目指したい考えだ。
同社は22年度の東京都の先端技術に関する実証事業に採択され、23年12月に東京湾内で鋼製浮体を用いた出力約55kWの洋上浮体式太陽光発電設備を設置した。25年3月末までデータを取得し、耐久性や安全性、発電性能などを検証したほか、近隣に地上設置型の太陽光発電設備を設置し、比較検証も進めた。
その結果、波浪に対する浮体の安定性を確認、塩害の影響は軽微で錆びや腐食などもなかった。そればかりか、水面の冷却効果によって6月から11月は地上設置型よりも発電量が上昇したという。なお同社は検証終了後の25年3月末に設備を撤去している。
同社事業創生本部再生可能エネルギー推進部の土屋星次長は、「設置期間は短かったが、いい成果が得られた。太陽光発電の適地が限られているだけに、洋上浮体式太陽光発電の利用が拡がる可能性は十分ある」と述べる。
一方、同社事業創生本部の小倉健彦再生可能エネルギー推進部長は、「比較的静穏な太平洋で今後も実証試験を進めたい。段階的に設備の規模を拡大していく」と意気込む。
洋上浮体式太陽光発電設備は水上設置型の太陽光発電設備よりも数倍程度コストが嵩むという。コスト低減に向けて設置方法の改善や部材の簡素化などが求められるようだ。
なお、同社はため池などに太陽光発電設備を設置する水上太陽光発電事業を8ヵ所で実施している。
同社が東京湾に設置していた洋上浮体式太陽光発電設備