ヒラソル、初の蓄電所の運用受託開始
福岡県と徳島県で

福岡県古賀市の蓄電所では稼働に合わせて開所式を開催した
東京大学発の技術ベンチャーであるヒラソル・エナジー(東京都文京区、李旻社長)は2025年11月、福岡県と徳島県に建設された高圧蓄電所のアグリゲーション業務を受託し、このほど運用を始めたと発表した。同社初の系統用蓄電所の運用受託であり、今後もアグリゲーション事業を拡大していく構えだ。
同社が運用を受託したのは福岡県古賀市と徳島県国府町の高圧蓄電所で、それぞれ25年10月2日と10月29日に系統連系した。いずれも出力は約2MWで、蓄電容量は前者が8000kWh、後者が4000kWhである。両方とも蓄電設備はファーウェイ製を採用した。
福岡県古賀市の蓄電所の事業者は、茨城県土浦市で建築土木資材の販売などを手掛ける中川商事で、建設資金には筑波銀行によるグリーンローンを充てた。
徳島県国府町の蓄電所では、同社子会社のヒラソル電設が開発やEPC業務を担当。そのヒラソル電設から所有権を移転し、ヒラソル・エナジーと受変電設備販売のWINコーポレーションの共同出資会社が事業者となる予定だ。
ヒラソル・エナジーはかねてより太陽光発電設備やV2X(車からの電力供給)設備向けのローカルEMS(エネルギー管理システム)などを開発し、供給実績も上げていた。蓄電所向けでは、蓄電設備と繋がるローカルEMSに加え、上位のアグリゲーションシステムまで独自に開発。アグリゲータとして運用業務の受託まで乗り出し、今回の蓄電所が初の受託案件となった。
ヒラソル・エナジーの池上洋行取締役CTOは、「まずはJEPX(日本卸電力取引所)での取引から始めるが、一時調整力を含めた需給調整市場の活用も準備中だ。知見を蓄積しつつ、蓄電池の最適な運用法も追求していく」とし、「EPCから運用までをグループで一括提供できる強みも生かしていきたい」と語った。

