低圧、高圧、特高から系統安定化用や自家消費用まで

独SMA、製品群刷新で全方位展開強化

PCS世界大手の独SMAが相次ぎ新製品を市場に投入した。8月に高圧用100kW機を売り出すと、9月末に低圧用5.5kW機を発売。来年は特別高圧用の分散型PCSや超大型機を出荷する。製品群を刷新し、全方位展開を強化する狙いだ。

(左)2020年末にも住宅向け蓄電池用PCSの4kW機、『Sunny Boy Storage 4.0』を協力会社とともに販売する予定 (右)低圧太陽光発電所用の5.5kW機『Sunny Boy 5.5-JP』。2020年9月末より販売する

太陽光発電用PCS(パワーコンディショナ)の製品群で他社を圧倒する独SMA。小型機から分散型PCSや超大型機まで、同社に依頼すれば、あらゆるPCSを入手できる。そんな同社の日本法人、SMAジャパンが日本向け製品群の大幅刷新を進めている。一体どのような製品なのか。

小型機の目玉は2020年9月末発売の単相5.5kW機、『Sunny Boy 5.5-JP』だ。パネル過積載率250%まで対応した低圧太陽光発電所用の機種で、質量が17㎏と軽い。PCS本体のQRコードを携帯端末で読み取れば、各種設定を簡易に行えるため、施工性が増すのだ。特筆すべきは、発電事業者にもお得な4つの無償サービスを受けられる点である。

1つ目は、高速MPPT(最大電力点追随)制御技術、『SMA ShadeFix』の効果を得られること。ユーザーは影による発電低下を最小限に抑えられる。2つ目は、遠隔監視システム、『Sunny Portal』だ。発電量情報の収集から複数のPCSの一括監視や比較・分析まで可能になる。3つ目は、ユーザーに代わってSMAが監視して不具合を検出する不具合自動監視システム、『SMA Smart Connect』である。それでもPCSが故障した場合は、4つ目の『Sunny Boy 5.5kWコンフォートサービス』。これはSMAが新品のPCSを送り、ユーザー側で故障品と交換する従来のセンドバック方式であるが、今回SMAはその際の負担を考慮し、ユーザーに1.6万円キャッシュバックするサービスを始めたのだ。

SMAジャパンの松岡啓介社長は、「低圧太陽光の全量売電はFITの対象から外されたとはいえ、まだまだ案件は残っています」とし、「世界で9.5万台以上売れたベストセラー品です。初年度2.5万台を目標に拡販します」と意気込む。

小型機では、同社は20年末にも4kWの蓄電池用PCS、『Sunny Boy Storage 4.0』を発売する予定だ。住宅用における自家消費ニーズを捉え、協力会社とともに住宅用蓄電設備のパッケージ提案を展開していく。

SMAジャパンの松岡啓介代表取締役社長