サンヴィレッジ、系統用蓄電事業で丸紅新電力と協業
高圧蓄電所販売開始
太陽光発電所のEPCを手掛けるサンヴィレッジが丸紅新電力と系統用蓄電事業で協業する。開発から運用まで担う形で高圧蓄電所を7月から販売する。2025年に100MWの受注を目指す。(本誌・楓崇志)
EPC(設計・調達・建設)企業のサンヴィレッジ(栃木県足利市、三村挑嗣社長)は、丸紅子会社で電力小売りなどを手掛ける丸紅新電力(東京都千代田区、鈴木敦士社長)と系統用蓄電事業で協業する。具体的には、サンヴィレッジが土地選定を含む開発やEPC、O&M(管理・保守)を手掛ける系統用蓄電所に対し、丸紅新電力がアグリゲーション業務を含む運用業務を代行し、送配電会社などとの協議や試運転対応などを支援する。両社が関わる蓄電所をパッケージ商品として事業者に販売していくというもので、必要に応じて金融機関や保険会社との連携による支援策も講じる。
採用する蓄電設備は標準仕様を定める予定だ。現時点では、ファーウェイ製蓄電設備にユニバース製EMS(エネルギー管理システム)と、サングロウパワーサプライ製蓄電設備にメテオコントロール製EMSという2種類を用意した。ただし、今後は顧客の要望などに応じ、蓄電設備やEMSの選択肢を増やしていく可能性もあるようだ。
サンヴィレッジは数年前から系統用蓄電所の開発に乗り出し、これまでに250ヵ所程度の高圧蓄電所の用地を確保。そのほとんどが東北、東京、中部、関西電力管内にあるようだ。
同社の三村挑嗣社長は、「いずれも電力会社との接続検討を終え、工事費負担金も支払い済みだ。1年以内に系統連系できる案件が多く、すでに40件以上を販売した。特別高圧案件の開発も続けつつ、高圧蓄電所を順次建設しているところだ」とし、25年5月には愛知県春日井市で高圧蓄電所を稼働させたほか、栃木県足利市でも夏頃の完工を目指し、自社案件の建設が進行中だという。
サンヴィレッジはこれまで事業者の要望をもとに、複数のアグリゲータを選定していたが、このほど丸紅新電力との連携を強化する方針を決めた。三村社長が「アグリゲータまで固めることで、事業化に必要となる各種協議や調整作業の迅速化や簡素化に繋げたい」と話せば、丸紅新電力営業本部の林勇樹副本部長は、「EPCやアグリゲーション業務に関する仕様書など必要書類も含めて一括で提供するので、資金調達もしやすくなるはずだ」と語る。
もっとも、両社の協業は今回が初めてではない。24年5月1日には、〝非FIT〟太陽光発電所開発に関する資本業務提携の締結を発表し、サンヴィレッジは丸紅新電力を引受先とする第三者割当増資で20億円の開発資金を調達した。今回はそれに続く協業となる。
足元の市場では蓄電所の開発が活況だが、系統枠の〝空押さえ〟の問題なども顕在化しつつある。実際に運転開始できなければ、事業が成り立たないだけに、工事費負担金の支払いを終えて連系が確定している案件には一定の需要がありそうだ。
サンヴィレッジは系統用蓄電所を積極的に開発。写真は2025年5月に愛知県春日井市で稼働させた高圧蓄電所