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サングロウ、ヘキサと系統用蓄電設備の供給で合意

特高4件約60万kWh

中国PCS大手の日本法人、サングロウジャパンはこのほど、蓄電事業会社のヘキサ・エネルギーサービスと系統用蓄電設備の供給で合意した。サングロウは4件約60万kWhの系統用蓄電所に蓄電設備を供給する。2026年から出荷する予定だ。(本誌・楓崇志)

ヘキサが福岡県田川市で建設中の蓄電所。サングロウ製の蓄電設備が設置されている

PCS(パワーコンディショナ)大手、中・サングロウパワーサプライの日本法人、サングロウジャパンは2025年8月7日、日本で蓄電事業を手掛けるヘキサ・エネルギーサービスと系統用蓄電設備の供給に関する合意書に調印した。サングロウは4件の特別高圧蓄電所に合計出力約150MW、蓄電容量約60万kWhのコンテナ型蓄電設備を供給する。いずれも27年以降の運転開始を見込んでおり、26年から順次出荷する予定だ。

ヘキサ・エネルギーサービスは、米国の投資会社であるアイスクエアド・キャピタル傘下の系統用蓄電事業会社。日本市場ではしろくま電力などと連携し、蓄電所を開発しており、応札年度が23年度となる第1回の『長期脱炭素電源オークション』では最多となる11件の蓄電所を落札していた。今回の4件もその落札案件の一部である。

もっとも、ヘキサが日本でサングロウ製の蓄電設備を採用したのは今回が初めてではない。同社は24年11月に福岡県田川市で出力約30MW、蓄電容量約13万kWhの系統用蓄電所の建設に着手しているが、そこで採用された蓄電設備はサングロウ製だった。すでに設備の出荷を終えており、26年の運開に向けた建設作業が進んでいるという。

ヘキサ・エネルギーサービスの渡邉優子会長は、「アイスクエアドは世界で太陽光発電事業や系統用蓄電事業を展開しており、サングロウとも関係性を構築していた」としたうえで、「設備一式での供給は評価した点の一つだ」とも明かす。

というのも、サングロウは系統用蓄電所向けにはPCSや蓄電池だけでなく、中間変電設備まで一式で供給している。サングロウジャパンの高雨取締役兼営業統括マネージャーは、「性能保証を含めて、一括で提供できるのは当社の強みだ」と説明する。

これでヘキサは今回の4件を含め、計5件の蓄電所でサングロウ製の蓄電設備を採用したことになる。とはいえ、ヘキサは25年3月にパワーエックスとも高圧蓄電所の開発に関する業務提携を締結しており、サングロウは重要な協業先の1社という位置づけのようだ。ヘキサの渡邉会長は、「再生可能エネルギーの普及に伴い、日本でも蓄電所の必要性が高まっている。地域共生や社会貢献を重視しつつ、日本の電源の脱炭素化や系統安定化に貢献していきたい」と意気込む。

一方、サングロウも日本の系統用蓄電所向けの蓄電設備の受注量が順調に拡大しているようだ。高取締役は、「すでに契約量は200万kWhを超えた。高圧蓄電所向けから出荷が始まっており、6月には初の高圧蓄電所が系統連系を果たした。さらに受注を伸ばしていきたい」と語る。

ともあれ、初回の長期脱炭素電源オークションの落札案件は27年から28年にかけて運転を開始するものと見られる。いよいよ建設が本格化しそうだ。

両社は8月7日に調印式を開催。式に参加したヘキサ・エネルギーサービスの渡邉優子会長(右)と水田洋一郎CEO(左)、サングロウの許月志アジア太平洋地域ゼネラルマネージャー(中央)

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