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日立ビルシステム、停電時のエレベータ稼働にV2X活用

年内にも商品化へ

実証のために導入したEVとV2X設備

日立製作所の子会社、日立ビルシステム(東京都千代田区、光冨眞哉社長)は2022年5月23日、蓄電設備とEV(電気自動車)にV2X(車からの電力供給)設備を用いて停電時にエレベータを稼働させる実証実験を始めたと発表した。年内に商品化し、高層マンションでの利用を想定して販売する方針だ。

東京都足立区内のオフィスで22年4月に実証実験を開始した。蓄電容量13‌kWhの韓・LGエレクトロニクス製蓄電池と同40‌kWhの日産自動車製EVにためた電力をV2X設備から供給して定員9名、積載質量600㎏のエレベータを稼働させた。

エレベータに内蔵の非常用電源と安全装置を作動させ、乗員が閉じ込められないよう自動で最寄りの階まで運行させる。通常時に分速60mで稼働するエレベータの速度を分速30mの低速に切り変わるよう制御した。

同社マーケティング本部製品・サービス企画部の平野敏史部長代理は、「エレベータを低速モードに切り替えたのは長時間稼働させるためだ。EVと蓄電池が満充電の場合、エレベータは最長10時間稼働する」とし、「年内にエレベータとV2X設備をパッケージ化して製品化する。顧客の要望によっては再生可能エネルギー電源も組み合わせる。主な販売対象は高層マンションだ」と語る。

なお同社は日立グループの脱炭素化に向け、オフィスに出力100kWの太陽光発電設備を設置して自家消費している。︎

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