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KCCS、再エネ100%データセンター開設へ

証書なしで計画

京セラ子会社の京セラコミュニケーションシステム(=KCCS、黒瀬善仁社長)は2022年12月、全ての電力消費を再生可能エネルギーで賄うデータセンターの建設を始めた。環境証書や再エネ由来の電力は使用せず、太陽光発電設備の自家消費やPPA(電力売買契約)で再エネを調達する。24年秋を目途に開設する予定だ。

同社は、80億円投じ、北海道石狩市内に消費電力2~3MWのデータセンターを開設する。隣接する土地に出力1.8MWの太陽光発電所を新設し、自営線でデータセンターに再エネ電力を供給、消費電力の15%程度を再エネで賄う。不足分は石狩市内の発電事業者からPPAなどで再エネ電力を調達する構えだ。

蓄電容量6000kWhの蓄電設備をデータセンターに併設し、AI(人工知能)と電力需給装置を組み合わせたEMS(エネルギー管理システム)との併用で電力需給を制御する。再エネ電力を安定的に供給しつつ、経済合理性を追求する。

環境省の補助金、『脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業』を活用し、太陽光発電所の建設費に工面する。データセンターを企業や自治体に活用してもらうよう、日本データセンター協会の設備基準の最上級である『JDCCティア4』を取得した。

19年に全量再エネ由来の電力で運営する工業団地の開発に向け、石狩市と協定を締結。その一環として全量再エネ電力で運営するデータセンターを21年に建設する予定だったが、計画が遅れていた。

同社経営企画部GX事業開発部の尾方哲部長は、「当初はベースロード電源になり得るバイオマス発電所の建設計画があったが、頓挫し、20年に計画を見直した」と経緯を述べたうえで、「今後は、データセンターの拡張や水素の利用などを構想している。オンサイト型とオフサイト型の双方に活用できるEMSの横展開も目指す」と展望を語った。

データセンターの完成イメージ

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