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NTTアノードエナジー、千葉で太陽光電力の直流供給実証へ

自営線と蓄電池を活用

NTT東日本通信ビルの遊休地に設置された太陽光PVパネル

NTTアノードエナジー(東京都千代田区、高間徹社長)は2021年1月14日、太陽光パネルで発電した電力を蓄電設備や自営線を用いて直流供給する実証試験を始めると発表した。太陽光発電や蓄電設備の新たな導入形態になるかもしれない。

同社は、千葉市内のNTT東日本通信ビルの遊休地に59kWの太陽光パネルと36kWhの蓄電設備を設置。太陽光パネルで発電した電力を200m強の自営線で道路を挟んだ向かい側の千葉市立白井中学校に直流で送電する。白井中学校では、交流変換機能を備えた非常用コンセントや電工ドラムを介して送られてきた電力を使用するほか、直流電力で動くLED照明器具でも活用する。

今回の実証試験は、同社がTNクロスやNTT(日本電信電話)、東京電力ホールディングスとともに千葉市で実施している再生可能エネルギーの導入促進やレジリエンス(強靭化)強化を目指した街づくりに関する共同実証試験の一環。直流電力の送電先である白井中学校は市が避難所に指定しており、非常時の電力供給を想定した取り組みである。

実証試験では、非常時の避難所への電力供給体制や運用手順の確認のほか、直流供給における電力品質の検証も行う。すでに設備を設置済みで、21年度から本格的に実証試験を始める予定だ。

NTTアノードエナジースマートエネルギー事業本部技術部の小長野孝之担当課長は、「まずは半年程かけて実証していく。信頼性を担保したうえで、平時に太陽光パネルで発電した電力をNTT側で使うことも検討していきたい」と語る。

なお、千葉市はレジリエンス強化などを目的に避難所への太陽光発電設備や蓄電設備の導入を進めており、白井中学校への導入も計画。TNクロスが事業者として採択されており、将来的には両方の設備を連携させる可能性もありそうだ。

小長野担当課長は、「制度上の制約から今回の設備は電力系統と繋がっていないが、それでは使い勝手が悪い。制度の見直しも進んでおり、将来的には双方向で電力を融通し合える仕組みにもなり得るはずだ」と期待する。

現時点では費用面などの課題も残るようだが、太陽光発電が生み出した電力を自営線で直流送電する仕組みが実装可能になれば分散型電源の普及や価値向上に繋がりそうだ。

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