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みずほ証券ら、営農用太陽光の私募ファンドでプロファイ組成

福島県南相馬市で6件11MW取得

みずほ証券らが組成した私募ファンドが取得した営農用太陽光発電所

みずほ証券(東京都千代田区、浜本吉郎社長)は2025年6月20日、みずほリースやブルースカイソーラーらとともに、営農用太陽光発電所のみを裏付け資産とする長期私募ファンドを組成したと発表した。オリックス銀行らからノンリコース型のプロジェクトファイナンスによる資金調達も実現した。

今回、みずほ証券らは、みずほリース子会社のエムエル・パワーが発電設備を保有するSPC(特別目的会社)の『福島小高ソーラーリース』を立ち上げ、6件約11MWの営農用高圧太陽光発電所を取得。発電事業者で営農事業者の『福島小高ソーラーファーム』と設備の賃貸借契約を交わして事業を実施する仕組みを構築した。営農用太陽光発電所はいずれも福島県南相馬市に立地し、17年頃からFITを活用した売電事業を行いながら、下部農地ではミョウガを栽培している。

今回の事業では、みずほ証券が資金調達を含めた事業スキームの構築を支援したほか、再生可能エネルギー発電事業などを手掛けるブルースカイソーラーが営農の補助や設備のO&M(管理・保守)業務を、ブルースカイアセットマネジメントが資産管理業務を受託した。第一種農地は地元の地権者から借りたという。

特筆すべきは、私募ファンドであるSPCが営農用太陽光発電所の事業収益のみを返済原資としたノンリコース型のプロジェクトファイナンスによる資金調達を実現した点だ。というのも、営農用太陽光発電所の事業期間は長期に亘るが、3年毎などの期間で農地の一時転用許可を更新する必要があるため、プロファイの組成は簡単ではない。

みずほ証券グローバル投資銀行部門キャピタルマーケット本部不動産投資銀行部インフラ担当の安達翼ヴァイスプレジデントは、「収量の確保を含めた事業の継続性を評価してもらうしかなく、事業リスクを徹底的に洗い出し、様々な対策を講じた」と振り返る。

たとえば、これまでもミョウガの収穫時期には50人程度の人手が必要になるため、地元の地権者や福祉事業者などと連携し、地域貢献の仕組みを構築していたが、「それをさらに持続可能な形にすべく、いざという時の人手不足にも対応できるよう協力企業との関係を強化したり、日照り対策として井戸を掘ったりもした」(安達ヴァイスプレジデント)という。

もっとも、この農地は東日本大震災の被災地であり、地元の雇用創出や〝農福連携〟を促進していた点も評価されたようだ。安達ヴァイスプレジデントは、「再エネの適地の減少が見込まれるなかで、農地の活用は有効な手段だ。今回のような社会的意義の高い事業の構築を今後も支援していきたい」と語る。

なお、今回のプロファイはオリックス銀行と常陽銀行を含む3行が組成した。資金調達額は非公開としているが、私募ファンドの資産総額は40億円弱に及ぶという。

発電所の下部農地ではミョウガを栽培している

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