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日鉄エンジ、蓄電池併設太陽光のアグリゲーション受託

事業化支援も実施

日本製鉄子会社で電力小売りなどを手掛ける日鉄エンジニアリング(東京都品川区、石倭行人社長)は2025年7月3日、福岡県内で蓄電池を併設した高圧太陽光発電所のアグリゲーション業務を受託し、運用を始めたと発表した。今後は特別高圧案件も含めた蓄電池併設太陽光発電所や系統用蓄電所のアグリゲーション事業を拡げていく構えだ。

同社がアグリゲーション業務を受託したのは、三井住友ファイナンス&リース子会社の再生可能エネルギー発電事業者であるSMFLみらいパートナーズがSPC(特別目的会社)を通じて保有するパネル出力2634kWの高圧太陽光発電所の『青柳ソーラーパークⅠ』。福岡県古賀市内に立地し、18年8月末よりFITのもとで稼働していたが、このほどFIPに移行しつつ、パワーエックス製蓄電設備を3台併設した。蓄電設備の合計出力は1750kW、蓄電容量は8226kWhで、6月20日に運転を開始した。

日鉄エンジニアリングはアグリゲータとして需給管理や電力取引といった日々の運用業務を代行しつつ、事業化に向けて様々な支援も実施した。同社九州支社環境営業室兼サービスビジネス本部電力ソリューション部企画・需給管理室兼サービスビジネス推進部エネルギーマネジメント事業推進室の豊國みづ紀マネジャーは、「事業性の検証からメーカーの選定支援、補助金の活用などを含めた各種手続きまで、一気通貫で事業化を支援した」と話す。

発電所のアグリゲーション業務には、独自のAI技術を実装したEMS(エネルギー管理システム)を活用。同社サービスビジネス本部サービスビジネス推進部エネルギーマネジメント事業推進室兼務の寺嶋紀彦電力ソリューション部企画・需給管理室長は、「太陽光発電と蓄電池の協調制御を実現し、最適な充放電制御を可能とするEMSだ」とし、JEPX(日本卸電力取引所)や需給調整市場など複数の電力市場での取引にも対応しているという。

今後は蓄電池併設発電所のほか、系統用蓄電所向けでもアグリゲーション業務の受託を狙っており、いずれもいくつかの商談が進んでいる模様だ。寺嶋室長は、「当社は電力小売り事業を長く手掛けているだけでなく、コーポレートPPAの実績もある。エンジニアリングの知見を活かした設備や設計に関する技術的評価も可能だ」としたうえで、「こうした技術や知見で再エネの普及や脱炭素化に貢献していきたい」と語る。

日鉄エンジニアリングがアグリゲーション業務を受託した『青柳ソーラーパークⅠ』

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