東北電力、営農用太陽光事業に参入
千葉エコらと可倒式架台開発
3社は実証事業を経て正式に可倒式架台を採用するに至った
東北電力は2025年8月27日、営農用太陽光発電の事業化に向け、営農用コンサルの千葉エコ・エネルギーと再生可能エネルギー設備の技術支援を行うシリンクスの3社で業務提携を交わした。東北電力は東北6県と新潟県で営農用太陽光発電の普及拡大を目指す。
東北電力は、営農用太陽光発電所を運営し、売電収入を得ながら営農者には契約期間中に土地代や耕作代を支払う。農業収入は、営農者が受け取る。同社は東北電力グループの小売部門以外への売電も検討している。
千葉エコ・エネルギーは営農用太陽光発電の事業化を500件以上支援した実績があるため、今回は営農者に営農を指導していく。千葉エコ・エネルギーの萩原領専務取締役は、「50年の脱炭素化に向けて東北エリアの営農用発電事業者の取り組みを支援していきたい」と述べた。
東北電力事業創出部門事業開発ユニットの宮東央サブマネージャーは、「コスト低減などの課題はあっても、営農用太陽光は、農業の衰退や耕作放棄地の増大といった社会課題を解決し得るもの。営農用太陽光の意義は大きい」とし、「低圧規模から着手し、徐々に規模を広げていく」と語る。
ともあれ、特殊な架台やパネルが必要な営農用太陽光発電においては発電所開発の原価低減が課題だ。そこで東北電力ら3社は24年秋に架台の開発に着手し、可倒式架台を開発。25年5月から実証事業を進めてきた。
可倒式架台とは、地上で太陽光パネルを設置した後、架台を引き上げながら建てていくもので、高所作業がなく、施工時間を短縮できる。これについて、架台を設計したシリンクス技術部の嶋田健太郎部長は、「一般的な藤棚式架台と比べて部材点数が少なく、作業効率は上がる。25~30%のコスト削減になるはずだ」と語る。
架台を倒した状態でパネルを設置し、後から引き上げる