東京海上グループ 中小企業向けの脱炭素化支援開始
地銀と連携
損害保険大手の東京海上ホールディングスは2025年9月29日、子会社の東京海上スマートGX(東京都千代田区、小川雅昭社長)が中小企業を対象とした脱炭素化支援事業を始めると発表した。地域金融機関などとの連携のもと、CO2 排出量の可視化から削減目標の設定、実行までを包括的に支援する。中小企業向けの再生可能エネルギー比率の高い電力の共同調達事業も実施していく。
今回、東京海上スマートGXが始めたのは、中小企業の脱炭素化を支援する事業である。ただ同社が中小企業に直接提案するのではなく、地域金融機関などとの協業を通じ、脱炭素化を後押ししていく。
東京海上スマートGXの小川雅昭社長は、「脱炭素化は多くの中小企業に重要な経営課題と認識されているものの、緊急性がないと捉えられることも少なくなく、実践する企業は限られていた。そこで、地域の中小企業と良好な関係を有する地域金融機関が特徴を活かしつつ、地域脱炭素化の仲間づくりにも繋がるように我々で包括的な支援を提供することにした」と話す。
具体的には、同社は提携先の地域金融機関などが実施する中小企業向けの脱炭素化コンサルティングサービスを後方支援する。専門家を派遣するほか、事業実態に応じたCO2 排出量の削減計画や目標の策定から省エネルギー設備や再生可能エネルギー設備の導入といった個別施策の実行まで中小企業の脱炭素経営を包括支援する。
小川社長は、「当社は〝知る〟〝測る〟〝減らす〟といった脱炭素経営に必要なステップ全てを支援していく。個別施策の実行時についても約40社の協業先と連携していくつもりだ」と語る。
また、同社は再エネ比率の高い電力の共同調達事業も実施していく予定だ。同社は複数の電力小売り会社との提携のもと、媒介事業者として電力料金プランを提案する。連携先の地域金融機関のほか、東京海上グループの顧客基盤も活用し、中小企業を束ねる方針だ。
小川社長は、「電力管内毎に一定の調達量を確保していくことになるので契約時期などに制限が生じる可能性もあるが、共同調達することによって、価格低減が見込めるだけでなく、再エネ電源側とも協議しやすくなるはずだ」と期待する。
同社は中小企業向けの脱炭素化支援の事業化を目的に24年2月に設立。まずは地域金融機関3行と連携し、実現可能性を検証。今後は排出権取引に関するサービスの提供も検討していく。

