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出光興産、追尾式営農用太陽光を稼働

徳島・小松島で水稲栽培

出光興産は徳島県小松島市で追尾式架台を用いた営農用太陽光発電所を稼働させた。写真は作物に必要な日射を確保する生育期の追尾制御の様子

出光興産は2026年2月19日、徳島県小松島市で追尾式架台を用いた営農用太陽光発電所を稼働させたと発表した。作物の生育期に十分な日射を確保できる仕組みを講じることで、発電と農業の両立を促進させる狙いだ。

同社がこのほど稼働させたのは、交流出力1980kWの営農用太陽光発電所で、約2.8‌haに及ぶ下部農地では水稲を栽培している。出光興産は発電所を所有・運用しつつ、電力小売りとして再生可能エネルギー電力を引き取り、地権者に地代を支払う。下部農地では地権者及び地権者から委託された農業法人が農業を手掛けている。

最大の特徴はクリーンエナジージャパン製の追尾式架台を用いている点だ。GPSで緯度・経度を計測し、太陽の位置に合わせてパネルの角度を自動制御するというもので、水稲の生育期には作物に必要な日射を確保できるように、非生育期には発電量を最大化できるように動かすという。

同社地域創生事業室の佐藤憲行次長兼分散型エネルギー事業グループリーダーは、「今回の案件の場合、4月から8月の5ヵ月間が生育期に当たる。その時期こそ発電量が7割程度に落ちるが、両面発電パネルを使っているほか、追尾式架台による非生育期の発電量の増加もあって、総発電量は通常の地上設置型と同程度に落ち着く見込みだ」とし、「営農用太陽光のポテンシャルは高いが、農業との両立が何よりも重要だ。追尾式架台を使うことで栽培できる作物の選択肢を増やせる可能性もある」と語る。

同社は23年に千葉県木更津市で追尾式架台を用いた出力45‌kWの営農用太陽光発電所の実証を開始。佐藤次長は、「すでに稲刈りを3回行ったほか、一時転用の再許可手続きも経験した」という。実証を踏まえた設計の改良も施しており、徳島の発電所では架台の杭の間隔を農業機械の標準寸法を考慮した配置に変更した。

今回の案件ではFITやFIP(フィード・イン・プレミアム制度)を使っていないが、経済産業省の補助金を活用した。佐藤次長は、「補助金を含めれば事業採算性は確保できた。今後は農業法人や発電事業者などとも連携し、この仕組みを拡げたい」と語る。

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