シャープは4月21日、住宅用高効率パネル『ブラックソーラー』の新製品を発表した。新技術を導入してモジュールの変換効率を19.1％へ高めた。6月30日より販売を開始し、住宅用市場でシェア拡大を狙う。
　太陽電池の原理は、セルに光があたると、正の電荷を帯びた正孔と電子が分離し、表裏の両電極に移動することによって電位差が生まれ、発電する。ただ、同社の高効率パネルは、受光面を広げるために電極をすべて裏面に移設したバックコンタクトタイプ。分離した正孔と電子が再び結合する再結合が起こりやすく、発電ロスが生じていた。
　そこで同社は、セルを覆う膜に新素材を導入。受光面に窒化シリコン膜を、裏面には酸化アルミ膜をそれぞれ成膜し、再結合を防いで発電ロスを削減、変換効率を向上させた。
　今回発表したのは、標準タイプのほかに、コンパクト、左コーナー、右コーナーの計4タイプ。年産能力210Wのラインを稼働させ、新型『ブラックソーラー』を月間7万枚生産する計画だ。
　同社は新製品の開発に14億円投じており、エネルギーシステムソリューション事業本部ソーラーシステム事業部副事業部長の五角博純氏は「パフォーマンスの高い投資ができた。出力がアップし、競争力のある商品だと自負している」と胸を張る。
　シャープは、15年3月期の通期決算で最終赤字が300億円に膨らみ、太陽電池事業を含むエネルギーソリューション部門は50億円の営業赤字を計上する見込み。同社は住宅用市場が2GW規模で推移すると予測し、『ブラックソーラー』の拡販でエネルギーソリューション事業の黒字化につなげる狙いだ。
　具体的な数値目標は、5月14日に発表する新中期経営計画で示す予定だ。