山佐、メガソーラー500MW開発へ本腰 無制限抑制案件100MW超購入

2016.07.05

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 単独でメガソーラー500MW開発を目指す山佐(岡山県新見市、佐野慎一社長)が、案件獲得に本腰を入れている。無制限抑制のかかる太陽光発電所も複数開発済みで、今後も条件次第で購入する構えだ。同社の狙いとは。

最短2週間で回答1ヵ月のスピード決済

 メガソーラー開発を積極的に進めている山佐には、様々な業者から未稼動案件の持ち込みが増えている。FIT法が改正され、仲介業者がいつまでも未稼動案件を保有できなくなったことが主因だろう。しかしそれだけではない。案件購入の決断が早い山佐の対応も、業者の間で好感を呼んでいるようだ。
 実際、山佐は、案件が持ち込まれてから翌日に現地調査を済ませ、3日後に購入を決めたこともある。手付や契約で交渉を長引かせることはなく、意思決定から決済まで非常に早い。
 しかも山佐は、案件に不備があれば、業者に問題点と改善策を事細かに説明する。業者にとっては、取引が成立しなくとも、交渉の過程で案件の問題がクリアになるという利点がある。一度山佐と取引した業者は、案件が出るたびにまず山佐に持ち込むようになり、リピーターが増えているのだ。
 佐野社長は、「これまで多くの案件を提案いただき、当社はその都度、良し悪しを判断してきました。自ずと事業価値を見極める能力が養われたのです」とし、「当社に案件をお持ちいただければ、案件によっては最短2週間でデューデリジェンス(評価・診断)を実施し、案件を購入するかしないか、回答させていただきます」と話す。

無制限抑制も購入対象

 いま国内の太陽光発電市場では、設備認定を取得して電力会社への接続申し込みを終えたプロジェクトでも、未稼動のものが30GW以上存在するといわれている。それらが系統を占領し、新規案件が接続できない状況を招いているため、今回の法改正で一掃されることになった。
 確かに、悪質なブローカーによる権利売りの横行が滞留案件を生み出す一因ではあるが、上位系統の張り替えに対して発電事業者が工事費を負担できないこと、そして何よりも無制限・無補償の出力抑制による金融機関の貸し渋りが開発を難航させている側面もある。
 それだけに、山佐はいま、リスクが大きいとされる無制限・無補償の出力抑制の対象案件も、積極的に開発する構えを示している。事実、22ヵ所計100MW超の無制限抑制案件の建設に着手しており、そのうち18MWはすでに運転開始させている。
これについて佐野社長はこう語る。
 「無制限抑制案件は、リスクがあります。20年の間に何がおこるか分かりません。原子力発電所の多くが再稼働する。省エネが予想以上に進む。そのせいで、予想以上の抑制が生じて返済額が不足することは十分あります。その時は、他の部門の資金で不足分を返済する以外ありません」。
 「そもそも抑制案件はその発電所が完成してもファンドや年金に売却しにくいため、最後まで所有するしかありません。つまり、いざという時でも売却しにくい性格のものにならざるを得ないのです。このような理由で、銀行が無制限抑制に消極的で、プロジェクトファイナンスを活用できないため、開発を断念せざるを得ないことが多いのではないでしょうか」。
 「また、抑制とは別に津波地域があります。現状、津波に対する保険は30億程度しか入れないので、150億のプロジェクトを行うときは、津波で設備が全損した場合の対応が出来ないと実行できません。抑制と同様に他の部門の資金で返済することにしています。当社は太陽光発電事業への参入が後発であったために他社が取りにくいリスクを覚悟で事業を行っています」。
 その一方で、無制限抑制以外にも、様々な問題を抱え、なかなか売却できない案件がある。例を挙げると、「連系負担金が高額で採算が合わない」、「系統連系までに長期を要する」、「EPC費が高額で採算が合わない」、「造成費が高額で採算が合わない」といったことあるが、これらの問題に対して、山佐には具体的な解決策があるため、案件を開発できるケースが少なくない。
 たとえば、高額な連系負担金は、土地代やEPC費、造成費などを見直して吸収する方法がある。系統連系までに時間がかかる問題も、自己資金で開発するため、長期の開発期間に耐えることができる。EPC費が高くつくのであれば、山佐が築いたメーカーやEPCとの関係を活用すれば、建設費を削減できる可能性は充分ある。造成費も、土地の形状を生かした設計に直せば、コストを大幅に抑えられることもある。
 このように、プロジェクト開発において豊富な経験を積んできた山佐には、案件の問題を解決していく力があり、実際に一見困難と思われる案件も完成させてきたのである。
 FIT法の改正で、今後は運転開始に期限が設けられることになる。発電所開発は、案件の見極めから完成までのスピードが命だ。今後は山佐の案件開発力がより際立つのはいうまでもない。

力の源泉は資産と信用

 山佐の強みは、案件を見極め、即決できる決断力と、豊富な経験で培った開発力であるが、それゆえ開発スピードも他のIPP企業と比べれば圧倒的に早い。
 実際、山佐が太陽光発電事業を始めたのは2013年からだから、完全に後発組だった。にもかかわらず、今年6月末時点で104MW分の太陽光発電所を稼働させ、ID保有案件は357MWに達している。いまや日本屈指の大型IPP事業者へと成長を遂げつつある。
 成功の直接的要因は、先述のとおり山佐は自己資金で開発を進め、運転開始後にコーポレートファイナンスをつけてきたため、プロジェクトファイナンスの組成に必要な長い準備期間を省けたことである。しかし、これだけ巨額のコーポレートファイナンスは通常得られるものではない。潤沢な資産と金融機関との強固な信頼関係があって始めて成立するのであって、それらを長年にわたって築き上げた経営体制こそが山佐の最大の強みなのだ。
 では、同社はどのような経緯で太陽光発電事業に参入したのだろうか。
山佐は今年で創業49年目を迎えるが、前身の佐野商店は1868年の創業だから、日本でも有数の老舗企業である。転機が訪れたのは1970年、コンピュータ制御技術で日本初のスロットマシンを開発してからだ。以後スロットマシンの製販で全国に展開し、一気に業績を伸ばし、急成長を遂げている。
 しかし、スロットマシン事業は浮き沈みが激しく、経営基盤の安定化が課題だったため、山佐は86年に航空機のリース業に参入した。スロットマシン事業の利益を原資に航空機に投資し、保有台数は着々と増加。現在は182機と、国内トップであり、バランスシートは数千億円規模に達している。
 そして太陽光発電事業に参入するのであるが、当初は経営安定化の一環であって、「特別償却が目的」(佐野社長)だった。つまり、それほど傾注するつもりはなかったようだが、事業を継続していくなかで、位置づけも少しずつ変わっていったのだろう。
 佐野社長は、「事業規模が拡大し、開発・運営に携わる方が増えると、自然と本業になっていく。これはスロットや飛行機リース事業が歩んできた道と一緒です」と語る。
 無制限案件を積極的に購入している山佐。案件の売却先を探している業者は、まず山佐に声をかけてみてはどうだろうか。

案件に関するお問い合わせ
山佐株式会社環境エネルギー事業部
[総合営業窓口]TEL:090-1684-7140担当:東原(ひがしはら)
[岡山本部]岡山市南区福富東2-20-6
TEL:086-262-5127 FAX:086-262-5024 担当:竹田
[東京支社]東京都台東区東上野2-15-12
TEL:03-3837-2349 FAX:03-3837-0340 担当:太田
E-mail:support_solar@kaerunet.co.jp
HP:http://kaeru-solar.com

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