ウエストHDの新構想 エネルギーで地方創生

2016.06.01

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 エネルギーで地方を創生するという壮大な構想を掲げるウエストホールディングス(広島市、吉川隆会長兼CEO)。太陽光発電のEPC(設計、調達、建設)やO&M(管理・保守)に加え、省エネ設備と電力の複合販売を本格化させた。同社のビジョンに迫る。

「既存の販売ルートを活用して、省エネ設備と電力の販売を始めました。従来は太陽光1本でしたが、商材を増やしたのです」。
 吉川隆会長は、グループのウエスト電力が始めたサービスをこう簡潔に説明したが、背景には大きなビジョンがあった。
 昨年のCOP21を機に政府はCO2排出削減向け、省エネを推進している。一方で、今年4月から電力小売りの全面自由化がスタートし、電力の需要家が電力の購入先を選ぶ新しい時代に入った。この変化を捉えて、ウエストは〝省エネ・エスコ+新電力〞、すなわち省エネ設備と電力のセット販売を本格化させたのである。
 一般の省エネ事業は、客先の照明器具や空調設備を省エネ効果の高い設備に取り換えて電力消費量の削減することによって従前の電気代との差額で設備の導入費を回収できることを提案し、省エネ設備を販売する。
 これに対し、ウエストのサービスは、省エネ設備とともに必要に応じて安価な電力を販売し、電力消費量とともに電力単価も削減する。しかも省エネ設備の初期導入費やメンテナンス費用を顧客に代わってすべてウエストが負担するため、顧客は負担ゼロで新しい設備を使用できる。ウエストは顧客から電気代の削減分をサービス料金として5〜10年にわたって徴収し、設備を償却するのである。
 資金は、これまで太陽光事業などを通じて関係を築いてきた地方銀行の融資を活用する。地方が疲弊し優良顧客が減少している地銀にとって、新たな投資先の獲得に繋がるわけだ。
 吉川会長は「キーワードは設備を所有するか、利用するかです。自治体は財政がひっ迫しており、設備を更新するための費用を捻出できないところが多いのです。当社と契約していただくと、負担ゼロで設備が新しくなります。長期契約ですから何か起こっても我々が対応するので、任せきりでいいわけです」。
 対象は、学校や公民館など自治体の保有する公共施設のほか、オフィスビルやホテル、商業施設などの高圧受電家。今夏にもウエスト電力の電力供給量は100MWに達する見込みだ。
 まさに省エネを推進してCO2を削減するという国の政策と合致し、かつ地方自治体と地方銀行を中心に地域経済の活性化に寄与する地方創生ビジネスだ。多くの賛同を得られやすいのは言うまでもない。
 ウエストは今後、省エネ設備と電力に加え、太陽光システムや蓄電池、EMS(エネルギー管理システム)も提案し、エネルギーのトータルソリューションを提供していく考えである。

フローよりストック

 この〝省エネ・エスコ+新電力〞サービスは、顧客にとって直接メリットがあり、CO2削減や地方創生という大義もあるが、実はサービスを提供するウエストにとっても、安定経営に繋がる重要な事業なのである。吉川会長はこう述べた。
 「今後はフローよりもストックです。フローの事業は、一度に得られる利益は大きいが、継続して売上をつくり続けなければならない。ストックは、一度に入る利益が長期に分散されるため、目立たないが、毎年少しずつ計上できるので将来の利益が確定します」。
 ウエストはこれまでEPC事業のウエイトが大きく、2013年、14年と大幅な成長を遂げたが、メガソーラーの建設需要はいつまでも続かない。それだけに、長期にわたって収益が継続的に得られる事業基盤を築く必要があったのだ。
 そしてエネルギーを通して、建物の管理サービスに繋げていくというのが、吉川会長の次の狙いだ。
 「省エネを追求すると、建物の断熱効果を高めるなど、リフォームの領域に向かいます。すでに建物の管理会社は多く存在しますが、当社はもともとリフォーム会社でしたから得意領域です。リフォームとエネルギーという強みを生かして差別化を図っていくのです」。
 では太陽光発電はどのように位置付けているのだろうか。
 「地方創生というビジョンにおいては、ひとつの手段ということになります。ただし、当社には買取り価格24円でも充分建設できるだけのコスト競争力がありますし、今後は自家消費の市場が生まれるでしょう。屋根はまだまだ空いています。コストがさらに下がって、蓄電池やEMSと結びつけば、建物全体の電力消費を大幅に抑えることができます。可能性に富んだ魅力的な商材であることに変わりはありません」。

株式会社ウエストホールディングス
[東京本社]〒163-1431東京都新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティビル32F
tel.03-5358-5757(代)
[広島本社]〒733-0002広島県広島市西区楠木町1-15-24ウエストビル
tel.082-503-3900(代)
http://www.west-gr.co.jp

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