[特別対談第1回]O&Mのあるべき姿  CO2O酒井正行社長×ESI土肥宏吉社長

2016.01.01

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 ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長と業界のキーパーソンによる特別対談。第1回のお相手は、太陽光発電所のデューデリジェンス(評価・診断)を強みにO&M(保守・管理)の実績を伸ばしているCO2Oの酒井正行社長だ。両者が描くO&Mのあるべき姿とは。

いま必要なのはデューデリ

土肥氏●日本のO&Mは、遠隔監視システムと駆けつけサービスというテクニカルな部分に偏っていて、欧州の状況と比べると、まだ発展途上と言わざるを得ません。

酒井氏●太陽光発電所はそれぞれ特性が異なるので、O&Mも発電所ごとに違って然りです。まず発電所の特性をしっかりと把握することから始めなければならないと思うのですが、まだ日本ではデューデリジェンスの技術レベルが低く、遠隔監視や駆けつけといった手段ありきになっています。

土肥氏●「W単価いくら」が先行してO&Mの商談が進んでしまいがちなところも問題です。山奥の1MWと市街地の1MWでは全く違うし、巨大なメガソーラーで人が駐在している場合は、仕事を上手く分担することによってコストを削減できます。概算の見積書をお出しすることは可能ですが、やはり設計図書をよく確認したうえでO&M費は算出されるべきでしょう。

酒井氏●なかには設計図書を持っておられない方もいらっしゃいます。この場合、O&Mの効果が限定的なものになってしまうばかりか、稼働済み発電所を転売するセカンダリーのフェーズに入ると、設計図書やO&Mの記録がない発電所は相対的に価値が下がります。発電所はアセットなので、価値を高めるために運用していくべきではないでしょうか。

故障の50%が施工起因

土肥氏●欧州では、太陽光発電所のトラブルの50%が施工起因という報告が上がっています。ですから、故障リスクを軽減するためには、どのEPCがどのように建設したのか、そして20年間の運用を考慮した設計になっているか、厳しくチェックするべきでしょう。メーカーとの保証内容やEPCの責任範囲、保険の適用条件なども要注意です。メーカー保証と保険があるからリスクはヘッジできていると思っていると、落とし穴に嵌ります。

酒井氏●私は、EPC会社の瑕疵担保期間が完工後1〜2年しかないので、後々大きな問題になると危惧しています。というのも、発電所の潜在リスクが顕在化するのは3年目以降が多いからです。残念ながら、質の悪いEPC会社によって、保証期間さえトラブルが生じなければよいという思想のもと、建設された発電所が多々あります。そんな不良発電所でも、プロの目で見ない限り、潜在リスクを可視化できないのが実態です。事業主の方々は早めにリスクを把握して、EPCに問題があれば、交渉してなおしてもらうことも検討するべきだと思います。

土肥氏●ドイツでも日本と同じように、最初はメンテナンスフリーが信じられていて、次に遠隔監視システムと駆けつけをすれば何とかなるという段階がありました。確かに遠隔監視システムは重要なツールで、パソコンに例えるとメールのようなもの。とはいえ、重要なのはそのツールを使って何をするかですよね。
 その後、ドイツのO&M業者は、複合化した付加価値サービスを提供するようになるのですが、一段落すると、CO2Oさんのようにデューデリジェンスをやって、発電所の状態を把握してから、オーナーの意向に沿った形で発電所ごとにメニューを提示するようになりました。現在は、プロのO&M企業が鎬を削り合う競争市場が生まれていますが、その一方で、各社の得意領域がはっきりしてきたので、業者間の提携も進んでいます。CO2Oさんの強みはどこでしょうか。

酒井氏●デューデリジェンスとコミッショニング(性能評価)です。ここに関しては日本でトップクラスだと自負しています。当社はエンジニアを現場に派遣して、発電所が抱える潜在リスクを顕在化していきます。実際、EPCや部材メーカーも気がつかなかったPCS(パワーコンディショナ)や接続箱の瑕疵を我々が見つけたこともあります。
 当社の方針はリスクベースメンテナンスです。HOWという手段の前にWHAT、つまりどこにどのようなリスクがあるのか、それを洗い出してから手段を考えていくというスタンスです。そして発電所をリノベーションして価値を高めていくことを目指しています。

土肥氏●発電事業者のために、最低限のコストで最大限のパフォーマンスを引き出すO&M。これこそ本来あるべき姿なのでしょう。まだまだ課題の多い日本のO&Mですが、我々の手で発展させていきたいですね。

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
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