世界最大手SMAのパワコン制御技術 出力抑制改定へ準備は万全!

2015.03.01

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 出力抑制のルール改定に伴い、国内のPCS(パワーコンディショナ)メーカーが対応に追われているが、独SMAは準備万全の様子だ。PCSによるリアルタイムの出力抑制は、欧州で一般化しており、同社は先んじて開発していた。世界最大手のPCS制御技術を紹介する。

 秋や春の電力需要の低い時期に、太陽光発電の出力がピークに達すると、管内の電力供給量が需要量を超える恐れが生じる。安定供給の観点から、電力会社には太陽光の出力を抑制できる権限が与えられているが、出力抑制が発動されると、発電事業者は売電機会を失い、事業収益が減ってしまう。
 そこで従来は、500kW以上を対象に年間30日以内の抑制というルールのもと、出力抑制は、電気主任技術者が日単位でPCSの出力を手動で制御するアナログな手法が採られていた。
 しかし、実際に出力抑制が必要になるのは、太陽光の出力がピークに達する日中の数時間程度である。その時間帯だけ出力を抑制できれば、事業者の売電収益の損失も最小限に抑えられる。であれば、日単位から時間単位の抑制に切り替えようというのが今回の改定の趣旨だ。
 しかしこの新ルールのもとで出力抑制を行うには、電力会社がPCSの出力を遠隔操作できる体制を整える必要があり、PCSに新たな機能を追加しなければならない。それだけに、国内のPCSメーカーはいま、対応に追われているのだが、リアルタイムの出力抑制は、すでに欧州で実施されており、難しい技術ではないようだ。SMAジャパン・テクニカルダイレクターの川上勝史氏は、欧州の状況をこう説明する。
 「欧州では系統サポートの一環で、皆、送電会社からの指令でいつでも任意に出力を抑制している。電力会社に売電機会を奪われたというネガティブなものではなく、太陽光発電所も電力インフラを担う発電所として安定供給の責務を果たすという高い意識で取り組んでいる。背景には、抑制による売電損失が補償されるルールがあるためだが、いずれにせよ、PCSの技術要件に、遠隔制御機能の搭載が義務付けられている」。
 では、リアルタイムに出力を制御するために、PCSに求められる技術的要件とは何か。川上氏は、「まずPCS自体に出力を自動制御する機能がなければならない。さらに、外部からの信号を受け取ってPCS本体に制御の指令を送る媒体が不可欠」という。
 だが、現時点では、国内のPCSにこれらの機能はない。確かに、系統の電圧上昇に伴い出力を自動で制御する機能は備わっている。それを活用する方法も検討されているが、外部からの信号を受けてPCSに指令を送る媒体は搭載されていない。
 これに対し、SMAのPCSには、出力の自動制御機能が全機種に標準搭載されている。外部からの信号によってPCSを制御する機能についても、住宅用、産業用どちらのPCSでも、『ウェブコネクト』という専用のインターフェースを後付するか、もしくは、『パワーコントロールモジュール』を組み込めばよいのである。
 「『ウェブコネクト』も『パワーコントロールモジュール』も簡単に後付けでき、『ウェブコネクト』は直接プロトコルで制御できる。『パワーコントロールモジュール』は、デジタル4ビット入力で16パターンの制御が可能。出力のオン・オフだけでなく、50%稼働や25%稼働など細かく調整できる」(川上氏)。
 一方、小型分散設置の発電所の出力抑制は、最大75台のPCSを一度に制御できる『クラスターコントローラー』を活用すればよい。これには、有効電力の制御のほかに、無効電力を制御する機能があり、細かい抑制にも対応できる。
 川上氏は「SMAの製品のインターフェースは、アナログでも、デジタルでも、多彩な外部信号を受け取れる。安定供給や系統サポートの観点から、この辺りの技術については、かねてより重視し、力を入れて開発してきた。出力制御に関しては、すでに小型から大型まですべて対応可能だ」と自信を見せたが、課題も挙げた。
 「日本では外部からの指令方式がまだ決定していない。デジタル信号なのか、プロトコル言語なのか、無線なのか、有線なのか。その一方で、通信インフラをどう構築するかという問題もある。業界で規格づくりが進んでいると聞いているので情報を入手次第対応したい」。
 こうした欧州での経験やノウハウに基づく対応力こそSMAの強さだろう。それは製品開発にも表れている。
 SMAは現在、定格出力数kWの小型機、『サニーボーイ』をはじめ、数十kWの『サニートライパワー』や500kWを超える『サニーセントラル』まで取り揃え、その製品ラインナップは豊富だ。だがこれに甘んじることなく、蓄電池を組み込んだハイブリッド型PCSを早くも製品化している。
 川上氏は、「今後は、大型機から、中型機や小型機へ需要がシフトするだろう。さらに住宅用の分野は、自家消費のニーズも高まってくるはず。こうしたマーケットの変化も欧州が早く、それだけに当社は先んじて製品開発を進めることができる。ここが当社の根幹だ。この強みを生かして、今後も日本のお客様に最適なPCSを提案していく」と意欲的だ。
 生産力、販売力で世界トップを走るSMA。いま水面下では次世代PCSの開発を進めているという。まだまだ独走態勢が続きそうだ。

SMAジャパン株式会社
TEL 03-3451-9532
http://www.sma-japan.com/

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