アンダー50の旗手 エコスタイルのPV流儀

2015.08.01

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 太陽光発電所の施工・販売で躍進するエコスタイル。出力10kW以上50kW未満の〝アンダー50〟市場で販売シェアを広げている。同社の成長力の源泉に迫った。

 「買取り価格が、たとえ10円/kWhに下がっても、我々は事業を継続していく。すでにグリッドパリティは射程圏内。最終目標はアンダー50の〝蓄電パリティ〞だ」。
 エコスタイルの木下公貴社長はこう方針を語った。蓄電パリティとは、「太陽光システム+蓄電池」の発電コストが一般産業用の電気料金と同等になること。コスト低減のハードルは非常に高いが、実現すれば、太陽光発電の位置づけは劇的に変わる。太陽光発電を系統に接続する必要もなくなり、当然FITも不要になる。
 そして木下社長は、「アンダー50は永久に不滅」と言及し、粛々とコスト低減を進めていく考えに迷いはない。実際、同社の低圧発電所のkW単価は、施工費込みで折板屋根用が税抜18.5万円、地上設置用が同19.2万円と安い。業界最安値といっても過言ではないだろう。
 発電設備は、中国CSUN、トリナソーラー、インリー・グリーンエナジーのモジュールと、オムロン製の5.5kWPCS(パワーコンディショナ)で構成。いずれも20年の施工保証と25年のモジュール出力保証、10年のPCS機器保証に加え、5年に1回の無償定期点検が付与される。
 発電所が50kW規模になると、土地代込みで初期費用は1200万円程になるが、同社はアプラスやセディナ、ジャックスといった金融会社と連携し、住宅ローンを抱える一般のサラリーマン世帯でも、問題なく融資がおりるという。
 つまり、同社は低圧発電所の施工販売を通して、「(買取り価格27円で)表面利回り13〜15%」(木下社長)の投資商品を一般消費者に提供するスキームを確立したわけだ。FITの導入後、異例の高成長を遂げたのはいうまでもない。
 12年3月期に17億円だった売上高は、翌期10kW以上50kW未満のシステム販売を本格化してから急上昇。12年度28億円、13年度58億円、14年度105億円と年率倍増ペースで推移し、今期は120億円に達する見通しだ。

徹底した〝責任施工〟

 エコスタイルは、どのようにしていまの成長力を手にしたのか。
 意外にも同社は、存亡の淵に立たされた時期があったという。木下社長はこう述懐した。
 「経理畑の私が社長に就任したのは08年11月。当時会社はどん底だった。オール電化製品を販売しており、翌年に住宅用太陽光の補助金が再開されたため、太陽光システムも扱ったが、正直売れなかった。問題は成約率の低い訪問販売という業態にあると思い、私は当時、販売活動を、新聞広告やウェブ広告のみに切り替えた」。
 だが当時の社員はほとんどが訪販部門の営業マンだ。木下社長の決断はなかなか社員に受け入れられなかったようだが、固定費の負担は軽減していったという。やがてFITが始まり、10kW以上50kW未満のシステム販売にシフトすると、同社は商品力の向上に努めた。
 「より多くの方々に〝買いたい〞と思っていただくには、商品力を高めていくしかない。とはいえ、メーカーではない我々にできることは限られている。ならば、まず我々自身が、これなら買いたいという商品は何か。そのためにできることをやろうと」(木下社長)。
 同社はコストを抑えながらも、施工人員を採用し、自社の社員による〝責任施工〞を強化。施工の20年保証と、完成後5年ごとの無償点検サービスを提供したのだ。現在は仙台、千葉、埼玉、名古屋、大阪、広島、福岡と全国に施工拠点を構え、150人の施工人員を抱えている。
 20年の発電事業を始める事業者が、安価な発電所を求めるのは当然だが、彼らは長期の信頼性に一抹の不安を抱く。それを見越して同社は価格を下げながら20年の補償サービスを付与した。事業者の間で同社の商品の訴求力が高まっていったのはいうまでもない。

エネルギーの地産地消へ

 確固とした事業基盤を築いた同社はいま、「再エネファンド事業」と「電力小売ビジネス」に力を入れている。これらの狙いを、木下社長は私見を交えて語った。
 「太陽光発電への国民的コンセンサスを得るためには、より多くの国民がFITの恩恵を受けられる状況が望ましい。当社がメガソーラーではなくアンダー50に特化してきた所以だ。それでも発電所の建設には、まとまった資金が要る。だから1口50万円の少額出資で再エネに投資できるようにファンドを立ち上げた」。
 「地域の電力は地域で賄うのが理想。太陽光の普及によって多くの再エネ発電所ができたので、次はその発電所の電力を使う環境を構築していかなければならない」。
 同社は昨年末に金融商品取引業者に登録。第1号ファンドは完売し、2号ファンドの募集も終了。このほど3号ファンドの募集を開始した。予定利回り率は5.5%である。
 その一方で、同社は16年4月の電力自由化を見据え、電力事業の準備を進めている。発電量が不安定な太陽光発電所の需給管理技術を磨くため、気象予報士を採用。「再エネを利用した我々が買いたい安価な電力を供給する」(木下社長)。
 エコスタイルはさらに、小水力発電や地熱発電へと他の再エネにも手を広げている。まだまだ進化の過程にある。

株式会社エコスタイル
[東京本社]東京都千代田区丸の内1-4-1丸の内永楽ビルディング20F
TEL:0120-616-715
http://www.taiyo-co.jp

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