〝アフターFIT〟新時代 PCSのあるべき姿 SMAジャパン今津武士社長×クラニッヒソーラー川畠義史社長、ロビン・ゴスマン取締役

2020.02.01

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 PCS世界大手のSMAと世界有数の太陽光商社クラニッヒ。長きに亘って協業関係を築き、グローバル展開を進めてきたドイツの両雄は日本市場の将来をどう見ているのか。日本法人の首脳陣が意見を交わした。

今津氏●貴社は、ドイツに本拠を構えつつ、欧州をはじめ、米国やインド、南アフリカ、ブラジルなど世界24ヵ国に拠点を置く世界有数の太陽光専門商社です。そんな貴社とSMAは長くパートナーシップを結び、日本でも協業していますが、いま日本市場は大きく変化しています。そこで密接に連携させていただくためにも、今回は市場動向や事業展望について、意見を交換させていただければと思います。

川畠氏●お互いドイツ企業ゆえ、日本の先を行く再生可能エネルギーの市場で事業展開している点において強みがあるように思います。ただ、日本の市場には欧州と異なる部分があって、たとえば、欧州と同様にFITから自家消費へ移行するにしても、電力事情や法規には日本固有のものがあります。こうした点は、自家消費へ市場が変化するにつれ、顕著になりますから、お互いの意思疎通はこれまで以上に重要になるでしょう。

ゴスマン氏●ドイツでは住宅に太陽光発電が導入される際、約4分の3に蓄電設備も設置されます。かつてドイツでもFITによってメガソーラーが多数建設され、2012年には導入量が8GWまで増えましたが、その後FITが見直され、市場は急冷しました。最近復活し、19年は約4GWまで伸びましたが、特に牽引したのは産業用と住宅用の自家消費でした。日本でも自家消費が活発になるでしょう。そこでどう展開するかが課題になるように思います。

今津氏●住宅用のPCS(パワーコンディショナ)の販売戦略は、当社にとっても大きな課題です。日本で住宅用PCSを販売するためには、ご承知のとおり、JET認証の取得が欠かせません。手間もコストもかかるので、新型機を発売するうえで、あらかじめ販売量の見通しを立てておかなければならないのです。市場動向に詳しい貴社とともに、絵を描いていければと考えています。

川畠氏●海外と比べ、日本の住宅用市場には独特の商習慣があります。海外では、最終顧客に対して販売会社が主導して設備を販売しますが、日本ではメーカー主導型の販売が根強く残っています。これは海外勢にとっていわば参入障壁なので、我々は取引先の販売会社とマインドを世界標準に変えていく努力を進めています。こうした点も、貴社と協業できるように思います。

ゴスマン氏●貴社と当社がドイツで最初に取引したのは03年です。ともに海外展開を進め、いまでは世界60ヵ国におけるPCSの販売で協業させていただいています。日本への進出も、貴社が11年で当社が12年ですから、ほぼ同時期です。この長い期間の取引によって熟成された信頼関係こそ最大の強みでしょう。今後の展開に活かしていくべきではないでしょうか。

今津氏●おっしゃるとおりです。SMAのPCSについては、クラニッヒさんに尋ねれば、長い歴史も含めて答えていただけるというところを改めて皆様に知っていただきたいものです。両社には、ドイツでFITが終わり、市場が冷え込み、海外へ展開せざるを得ない状況があって、手を取り合って海外展開に挑んできた歴史があります。いまやクラニッヒさんは、我々がお付き合いさせていただいているほぼ唯一のドイツ商社ですから、特別な思い入れがあります。

川畠氏●そういっていただけるとありがたいです。SMAさんの管理職の方も当社のことをご理解いただいているようで、双方は歴史的に高い次元の意思疎通が図られてきたように思います。今後はさらに踏み込んで、お互いのスキームの融合など、より発展させていけば、よい結果につながるでしょう。

ゴスマン氏●貴社と当社の信頼関係は長い期間の取引で築かれたのでしょうが、前提としてあるのは、SMA製PCSに対する絶対的な信頼ではないでしょうか。不具合が非常に少なく、安心してお客様に販売できる製品です。海外でも住宅用PCSのリピータがたくさんいらっしゃいます。

今津氏●それは大変ありがたいお言葉です。ただ最近お客様との対話で痛感するのは、お客様の関心がPCS単体よりも、パッケージ化やソリューション、あるいはアフターサービスに向いているということです。こうした要望にお応えしていくのは容易ではなく、むろん当社も努力していますが、やはり商社の方々のお力なくして成し得るものではありません。貴社には常々感謝しています。

川畠氏●単純な設備の販売だけではなく、お客様のニーズに沿った提案や技術支援まで力を入れていくというのが当社の方針です。自家消費市場においては、とくにこの方針を貫いていかなければならないと考えます。というのも、自家消費市場では、設備単体の提案には限界があって、システム提案はもちろん、シミュレーションや設備導入後の運用まで含めた総合提案が求められます。自家消費事情について補足すると、系統に太陽光電力を流さない逆潮流なしの設備に対する要求が厳しく、PCSに求められる要素が増えています。その点、貴社は海外でさらに厳しい技術的要求にも応えてこられた実績をお持ちなので、非常に安心です。

今津氏●FITがない時代から、SMAは、山奥の炭鉱で使うディーゼル発電機の代替として開発された太陽光発電設備のPCSをつくってきました。その『サニーアイランド』というPCSはまさに自家消費用です。歴史は長く、自家消費用こそSMAが最も得意とする領域なのです。ただ日本特有の電力事情に対しては、周辺機器が追いついていない部分もあります。クラニッヒさんのお力もお借りしながら、〝アフターFIT〞新時代におけるPCSのあるべき姿を追求していきます。

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