パナソニック、太陽光パネル生産から撤退

2021.03.01

PVeye

 パナソニックが太陽光パネル生産から撤退する。旧三洋電機の超高効率セル『HIT』の技術を受け継ぎ、一時は「世界最高」の称号を武器に住宅用市場で販売シェアを伸ばしたが、その歴史に幕を閉じる。(本誌・岡田浩一)

 パナソニックライフソリューションズ社は2021年2月1日、21年度内に太陽光パネルの生産から撤退すると発表した。今後は太陽光パネルを外部から調達し、自社の蓄電設備などとともに提供していく方針を示した。
 パナソニックは、マレーシア工場におけるウエハ、太陽電池セル、太陽光パネルの生産から撤退する。同工場を中・GSソーラーへ売却する計画もあったが、20年7月に頓挫したため、今回改めて建物や土地などの資産譲渡を検討し、現地法人を清算する。工場に勤務する700人余りの従業員には割増退職金支払いや再就職支援などを行う。
 島根工場での太陽電池セル生産も停止するが、同工場でのPCS(パワーコンディショナ)や蓄電池の生産は継続する。太陽光パネルの生産撤退に伴い、二色の浜工場におけるパネルの研究開発を縮小する。
 なお、時計や電卓向けなどの民生用太陽電池や「車載用の生産は継続する」(広報部)としている。
 今後の太陽光関連事業について、同社は太陽光パネルを外部から調達し、自社のPCSやHEMS(家庭内エネルギー管理システム)、蓄電設備、電気自動車用充電機器などと組み合わせて提供していく考えだ。VPP(仮想発電所)などを見据え、監視や制御サービスで差別化を図っていく狙いであろう。
 同社では15年頃から太陽光関連事業が低調で、最近は半導体や液晶パネル事業と並んで赤字に陥っていた。20年2月に米・テスラと運営する米・バッファロー工場での太陽光パネル生産停止を発表するなど、生産撤退の予兆があった。
 太陽光パネル国内大手では、三菱電機に続いての生産撤退となったが、背景にあるのは、海外メーカーとの価格競争力の差であろう。海外大手が続々と数10GW規模まで年産能力を伸ばしているのに対し、国内勢は全社合わせても3GW程度だ。いまや海外製パネルとの価格差は産業用分野で2倍近い開きがあり、国産パネルの出番は減少している。
 一方、国内メーカーの得意領域である住宅用太陽光発電設備においても、ある販売会社の社長によれば、「国内メーカーの設備は海外メーカーの設備より2割程高く、海外メーカーの設備を求める声が増えている」という。とくにパナソニックの高性能パネル『HIT』シリーズの設備は割高で、「HITの設備は他の国内メーカーの設備より1割程高い」(販売会社社長)。
 つまり、住宅用においても価格差が開き、太陽光パネル生産における事業採算性の展望が描けなくなっていたものと思われる。
 ただ、高性能なHIT設備の支持層は少なからず存在していたはずだ。太陽光パネルを外部から調達すれば、設備価格こそ安くできても、HITの付加価値は訴求できなくなる。監視・制御サービスでどこまで優位性を示せるのか。あるいはPCSや蓄電設備の生産もいつまで継続するのか。同社の今後の展開に関心が集まっている。

2022.07.27

PVeye

ヤマガタデザイン、山形県内でPPA展開 教育分野に資金還元

街づくり会社のヤマガタデザイン(山形県鶴岡市、山中大介社長)は2022年7月、太陽光発電のEPC企業、FD(愛知県刈谷市、鈴木政司社長)と、冠婚葬祭業のジョインの施設に太陽光発電設備を設置した。第1号続きを読む

2022.04.08

PVeye

伊藤忠商事、米国に再エネ開発会社設立

 伊藤忠商事は2022年3月24日、米国で再生可能エネルギー発電所開発会社を設立したと発表した。再エネ発電所の開発に特化する事業会社を立ち上げ、効率的な開発と収益の拡大を狙う。主に太陽光発電所を開発し続きを読む

2022.04.07

PVeye

北海道電力、太陽光ゼロ円設置開始 新築住宅向け

 北海道電力は2022年3月1日、新築住宅の所有者が住宅用太陽光発電設備を初期の負担なく設置できるサービスを開始した。顧客とリース契約を結び、毎月定額の料金を徴収する。
 同社は、今回の続きを読む

2022.03.08

PVeye

セイコーエプソン、富士見事業所に太陽光導入 SMFLみらいとPPA

 プリンター製造のセイコーエプソン(小川恭範社長)は2022年2月15日、長野県富士見町内の事業所に太陽光発電設備を導入した。三井住友ファイナンス&リース子会社のSMFLみらいパートナーズとPPA(電続きを読む

2022.03.07

PVeye

キユーピー、FIT太陽光を実質再エネに 神戸工場にはPPA導入

 食品大手のキユーピー(長南収社長)は2022年2月20日、既設の太陽光発電設備を活用して渋谷本社と研究施設で使用する電力を実質再生可能エネルギー電力に切り替えた。神戸工場にはPPA(電力売買契約)で続きを読む

2022.03.02

PVeye

横浜環境デザイン、PPAで太陽光導入

 太陽光発電設備の販売・施工やO&M(管理・保守)を手掛ける横浜環境デザイン(横浜市、池田真樹社長)は2022年2月7日、マテックス(東京都豊島区、松本浩志社長)の横浜事業所に太陽光発電設備と蓄電設備続きを読む

2022.03.01

PVeye

エムケイジャパン、可搬型蓄電設備発売 蓄電容量2kWh

 中・イーノウの国内総代理店であるエムケイジャパン(東京都荒川区、林軍社長)は2022年2月2日、電子商取引サイトでイーノウ製の可搬型蓄電設備を発売した。従来品より価格を抑え、民生用の非常用電源として続きを読む

2022.02.28

PVeye

シン・エナジー、リコー子会社にPPAで太陽光カーポート導入

 新電力会社のシン・エナジー(兵庫県神戸市、乾正博社長)は2022年2月16日、リコー(山下良則社長)の100%子会社、リコーインダストリー(神奈川県厚木市、戸倉正社長)に太陽光パネルを搭載したカーポ続きを読む

2022.02.17

PVeye

グッドオンルーフス、アフリカに太陽光無償提供 国連開発計画と提携

 アフリカで電化事業を手掛ける一般社団法人グッドオンルーフス(東京都千代田区、草賀純男代表理事)は2022年1月21日、国連開発計画のブルキナファソ事務所(マチュー・シオヴェラ代表)と契約を結び、太陽続きを読む

2022.02.12

PVeye

西海市、日産自らと脱炭素化で協定締結

長崎県西海市は2022年1月28日、日産自動車(内田誠社長)ら9社と市内の脱炭素化に向け、連携協定を締結した。電気自動車や再生可能エネルギーを普及させ、脱炭素化を進めつつ、災害に強い町づくりを目指す。続きを読む