ファーウェイ蓄電池の魅力

個別管理で利用率15%上昇 耐用年数15年超実現

ファーウェイが、系統用の大型蓄電設備や自家消費用の中型蓄電設備を積極的に売り出している。リパワリング向けに分散型PCSの販売も強化しており、日本の再エネ市場で急速に存在感を高めている。

展示会の様子

系統用蓄電所の開発機運が高まるなか、PCS(パワーコンディショナ)世界大手の中・ファーウェイ(華為技術)が、大型蓄電設備を本格的に売り出した。すでに欧州や中東などへ出荷しており、日本でも供給体制を整え、拡販していく狙いだ。

ファーウェイの大型蓄電設備の特徴は、20フィートコンテナを1単位とする蓄電池コンテナにある。同社は、1コンテナあたりの蓄電容量を2032kWhとして安全性の高いリン酸鉄リチウムイオン蓄電池を採用したが、同時にその蓄電池を細分化し、個別に制御する仕組みを導入した。

具体的には、複数の蓄電池セルを直列に接続した最小単位の蓄電池パックに各々BMU(蓄電池管理制御装置)を1台搭載し、複数の蓄電池パックで構成される蓄電池ラックには各々DC/DCコンバータを内蔵させた。というのも、蓄電池ラック毎にBMUで制御すると、蓄電池パック間の経年劣化の差異による充電のバラつきによって、劣化が進行したり、充放電能力が低下したりするからだ。

同社は、細かく制御することで充放電ロスを抑え、劣化が進行していない新しい蓄電池と古い蓄電池を併用できるようにして利用効率を高めた。同社の試算では、一般の蓄電池よりも、充放電能力が最大15%向上するという。

もっとも、BMUには監視機能があるため、異常の早期発見が実現するという利点もある。蓄電池パック毎にBMUがあると、蓄電池パック毎の電流や電圧を計測でき、内部短絡などの異常を早期に検出できるのだ。しかも、蓄電池パックの独立制御が可能なため、仮に蓄電池パック1台が故障しても他の蓄電池パックの充放電機能に影響が及ばない。つまり、同社の蓄電設備を利用すれば、事業者は管理・保守費などを含めた使用期間中のLCOS(均等化蓄電原価)を削減できるわけだ。同社によると、他の蓄電池よりも最大20%LCOSを削減できるとしている。

さらにファーウェイは、コンテナ内に空調機を6台設置し、内部の温度差を3℃未満に保つことで蓄電池の寿命を15年以上に延長させた。クラウドBMS(バッテリー管理システム)のAI(人工知能)機能を活用して内部短絡の自動検出保護や火災リスクを予知する機能も入れ、安全性を高めている。