ESI、自家消費用太陽光発電設備の商品拡充

自家消費用太陽光発電設備の販売からコンサルティングまで手掛けるヨーロッパ・ソーラー・イノベーション。同社は2020年4月、独自に設計した新しいシステムの販売を開始した。

プロフィール●土肥宏吉(どひ・こうきち) 1973年東京都生まれ。97年一橋大学商学部卒業後、遠心分離機大手の巴工業に入社し海外営業に従事。2011年ドイツで太陽光関連企業を設立。12年に太陽光専門商社ESIを設立し、代表取締役に就任。

ESIの強みと言えば、まず製品の調達力だ。国内外多くのメーカーから太陽光関連商材を仕入れており、その数は他社と一線を画す。

太陽光パネルでは、中フォノソーラー、中ジンコソーラー、中トリナ・ソーラー、韓LGエレクトロニクス、加カナディアン・ソーラー、中インリー・グリーンエナジー、ソーラーフロンティアなどの主要メーカーと取引関係を築きつつ、PCS(パワーコンディショナ)や蓄電設備の調達先も多い。PCSでは、独SMAや中ファーウェイ、中サングロウ、オムロン、田淵電機、安川電機、新電元工業、山洋電気などから、蓄電設備は、米エナーシス、田淵電機、メデア、オムロン、住友電気工業、中サングロウなどから仕入れている。

それだけに、ESIは、各設備の特徴に詳しく、自家消費用の太陽光発電設備では案件ごとに顧客の使用条件に合ったシステムを設計し、納入してきた。しかも同社はかねてより得意としてきた提供型の〝ソリューション販売〟を深化させ、自家消費用設備における販売支援や技術コンサルティングを実施。これが奏功し、同社には自家消費案件の引き合いが多数寄せられ、すでに300件を超えている。

そんなESIが今回、自家消費用設備の一環として、新たに発売したのが、企業のBCP(事業継続計画)用の独自システムである。

商品化の理由について、土肥宏吉社長は、「FITの抜本見直しが進むなか、当社のお取引先の販売・施工会社さんが自家消費用設備の提案に力を入れています。お取引先の力になるというのが当社のスタンスですから、自家消費用設備の製品群を拡充してきたのです」としたうえで、こう続けた。

「自家消費用設備を導入する企業の目的として、電力代の削減効果や再エネ電力が持つ環境価値もありますが、BCP対策も少なくありません。今回はそこに着目し、BCPに特化したシステムに仕上げました」。

では、どのような商品なのか。ESIが設計したのは、出力14kWの太陽光パネルと8kWのPCSに、蓄電容量17.6kWhのエナーシス製鉛蓄電設備で構成。特徴的なのは、直接PCSや蓄電設備に電力を供給できる直流出力10kWのプロパンガス発電機まで組み合わせた点である。まさにBCP用の独立電源システムであるが、これをESIは1システム800万円で販売するという。

土肥社長は「鉛蓄電池を活用してコストを抑えたので、お求めやすい価格帯だと思います。これをパッケージとして増設も可能なので、本格的に提案していきます」と意欲を見せた。

また、ESIは、ドイツの再エネ専門会社とともに、太陽光発電設備や水電解式の水素発生装置などで構成した水素ステーションを設計した。土肥社長は「水素に関しては、車の燃料であったり、電力をためる手段としての活用であったり、様々な可能性があります。こうした動きに対して再エネ業界として十分対応できるところを証明していくつもりです」と思いを語り、日本でもこのほど提案を開始していく方針を示した。

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