台・モアイグリーンパワー、V2H向け蓄電池発売へ

電力代ゼロ円も

台湾の蓄電池メーカー、モアイグリーンパワーがV2H設備向けの新型蓄電池を日本で売り出す。太陽光発電設備の効率的な利用に繋がる新しい製品だ。

チャデモ対応充電口を設けた新型蓄電池

台湾の蓄電池メーカー、モアイグリーンパワーが新しい蓄電池を開発した。EV(電気自動車)充電器の規格、『チャデモ』に対応した充電口を設け、V2H(車から住宅への電力供給)設備などを通じて充放電できるようにした。すでに予約受付を始めており、2024年2月に出荷する予定だ。

同社は今回の新製品を蓄電容量80‌kWhとし、戸建住宅や集合住宅、企業の施設での利用を見据え、太陽光発電設備の販売会社やEPC(設計・調達・建設)会社、商社、ハウスメーカーへ販売する構えだ。

製品の特長は、まず既設のV2H設備の機能を活用できる点である。V2H設備に内蔵されているPCS(パワーコンディショナ)の機能を活用するため、蓄電池の導入に際して配線工事が不要になるのだ。すでにV2H設備を持つ家庭や企業は、蓄電池の基礎工事のみで設置でき、V2H設備の充電コネクタを蓄電池に差し込めば、すぐに使用できる。

さらに、設備自体の価格が安い点も特長と言えよう。同社は、中国の大手メーカーから蓄電池セルを大量に調達し、台湾の工場で量産しており蓄電容量80‌kWhの蓄電池を600万円程で販売する模様だ。

V2H設備は、太陽光発電設備と一緒に導入されるケースが多いものの、充分に活用されていない場合が少なくない。利用者が日中にEVを使うと、昼間の余剰電力をEVにためられないし、災害時にはEVからの給電ができないからだ。利用者は、太陽光発電設備の効率運用や災害時の活用を想定してV2H設備を購入したにも関わらず、EVの利用によっては期待したほど効果が得られていないわけだが、今回の新製品があれば、課題は解消される。余剰電力を蓄電池にためておき、夜間に住宅や企業施設で使用することが可能となる。使い方次第では電力代をゼロ円にすることもできるうえ、災害時は非常用電源としても機能する。

さらに、新製品の用途は広がる。そもそも蓄電池の導入に際して配線工事が不要なため、蓄電池を様々な現場で使うことができるのだ。たとえば、深夜の道路工事などで発電機の代わりに使うとよいだろう。発電機を使うと、騒音が原因で近隣住民からの苦情を受ける懸念があるのに対し、蓄電池はほぼ無音だからトラブルを避けられる。

ともあれ、最近はV2H設備の導入に対する補助金が手厚い。V2H設備と今回の蓄電池のセット提案は有効かもしれない。これを機に販売店は製品の取り扱いを検討してみてはどうか。

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