加速するFIP発電所開発

拡がるRE100電力の再エネ買取り

RE100電力の再エネ買取りが好評だ。FIPで太陽光発電所を開発すれば、同社に20年間固定価格で売電できるため、開発が本格化した。すでに案件は200ヵ所を超える模様だ。

FIP電力固定価格買取サービスの概要。FITからFIPへ移行する場合、FIT売電単価よりkWhあたり最大1円高く買取る

電力小売りのRE100電力(香川県高松市、黒淵誠二社長)は2023年5月、FIP(フィード・イン・プレミアム制度)を活用する発電事業者向けの新サービス『FIP電力固定価格買取サービス』を始めた。インバランス(差分)リスクを含め、事業者の発電業務を代行しつつ、電力を20年間固定単価で買取る。事業者は、環境価値やFIPプレミアム(供給促進交付金)収入をRE100電力へ移譲することになるが、事実上FITを活用する発電事業と同じ形で事業に参入できる。

一般に、FIPを活用する発電事業の難易度は高い。発電事業者は、電力の売り先を探し、発電計画を作成して計画値と同量の電力を電力系統に流す必要がある。計画値と実績値に乖離が生じると、インバランス料金の支払いが課せられるうえ、FIPのプレミアム金額が毎月変動するため、事業収入の予見性は低いのである。それだけに金融機関が融資に消極的で、FIPを活用した太陽光発電所の開発はいまだに低調だ。

しかし、RE100電力のサービスを利用すれば、発電事業者はFIP特有のリスクを負わずに済み、むしろFITの活用を選択するよりも高い収入が得られる。というのも、RE100電力は、買取り単価を現状のFIT売電単価より高く設定しているのだ。

実際、同社は、買取り単価を、東京電力管内では1kWhあたり12円、東北・北陸・中部・関西・中国・四国電力管内は同11円とし、出力抑制の多い九州電力管内のみ同9.5円とした。23年度新規認定のFIT売電単価は低圧太陽光発電が10円、高圧太陽光発電が9.5円だから、九電管内以外であれば、発電事業者はFITを利用するよりも収益性が上がるのだ。なお、蓄電設備を併設すれば、それぞれ1kWhあたり6円上乗せした価格で同社に売電できる。

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