ソーラーワーク、系統用蓄電所開発を加速

オークション案件でも実績

蓄電技術や電力事業に知見のあるソーラーワークが系統用蓄電所事業に本格参入した。系統用蓄電事業に関心を持つ投資家や開発業者にとって同社は有力な協業相手になるかもしれない。

ソーラーワークの趙天工社長

再生可能エネルギーの調整力として役立つ系統用蓄電所の開発が活況だ。行政の補助が手厚く、多くの事業者が開発に乗り出した。

発電所の設計を支援するソーラーワークもその1社だ。同社は太陽光パネルやパワーコンディショナなど再エネ大手出身の技術者や、EPC(設計・調達・建設)企業や電力会社で豊富な経験を持つ人材を抱えており、2022年7月に系統用蓄電所関連事業に参入した。

ソーラーワークの趙天工社長は、「当社は太陽光発電や蓄電池に関する技術力と、電力系統に関する知見を有しています。この2つの強みを活かせると思い、系統用蓄電所関連事業への参入を決めました」と説明する。

具体的には、同社は候補地探しから各種許認可の申請、蓄電設備の選定や設計、事業性の検討まで系統用蓄電所を事業化するために必要な一連の業務を請け負う。

趙社長は、「候補案件の精査や地域との合意、電力系統の空き状況など事業化までには様々なハードルがあります。我々はリスクを見極めながら案件を組成しており、確度の高さには自信があります」と話す。

現在開発中の案件は1GW規模に達しているようで、すでに実績を上げている。たとえば、国の23年度補正予算に採択された系統用蓄電事業では1件の特別高圧案件に携わり、同社は各種許認可や補助金申請、設計などを支援した。補助金を活用しない高圧蓄電所の開発にも乗り出しており、完工後に引き渡す予定で数件の着工を準備中だ。

さらに、長期安定収入が得られる『長期脱炭素電源オークション』の初回結果が24年4月末に公表されたが、同社が支援する2件100MW弱の蓄電所が落札された。趙社長は、「SPC(特別目的会社)の設立などを含む系統用蓄電所の案件組成を一括で支援しました。時間が限られるなかで、EPCなどの知見をもとに蓋然性の高い概算費用を試算できる点も強みになったと思います」と語る。