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埼玉のメガソーラー開発に環境省が〝待った〟

前途多難の再開発

勧告があれば、事業者は計画を修正して再び開発を進めるものと思われるが、障壁はいくつもある。

まずFIT認定の失効だ。経産省は運転開始期限を迎えたFITの開発案件に対し、22年4月から1年以内に系統連系の着工申し込みがないものは認定を失効すると決めた。同社の開発計画が例外措置の対象とはいえ、1年以内に着工申し込みをしなければ失効は免れない。

さらには、運転開始期限である。今回の案件は、17年3月にFITの認定を受け、17年7月末までに接続契約を結んだと見られ、環境影響評価の実施による優遇措置があるとはいえ、期限は22年3月だ。許認可の取得や工事の期間を4年としても、売電期間は実質16年に短縮され、売電収益は減少する。

障壁はまだある。地域住民との合意形成だ。事業者に提出された住民意見は534件にのぼっており、埼玉県環境部環境政策課計画推進・環境影響評価担当の安村雄一郎主幹は、「県内の他の案件と比べ(住民意見の数が)1桁多い」とし、「住民側が猛禽類の自主調査を行うほど」と状況を語る。

恐らく事業者にとって最大の障壁は疑惑の払拭かもしれない。事業者には、以前残土処分場の建設を計画したものの事業化できなかった過去があるようで、開発に反対する比企の太陽光発電を考える会の小山正人代表は、「いつの間にか太陽光発電所の開発計画に変わり、それに対する説明もなかった。残土処理のための発電所開発ではないか」と疑念を抱く。

果たして事業者は地域住民と折り合いをつけることができるのか。法的かつ社会的な秩序を守って開発してほしいものだ。

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