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アップデーター、法人向けのオフサイトPPA付き再エネプランを開始

電力小売りのアップデーターは2022年1月27日、〝非FIT〟再エネ発電所によるオフサイトPPAを組み合わせた法人向け電力料金プランを提供すると発表した。電源追加性のある再エネ調達法として、脱炭素化を推進する企業に訴求する。(本誌・楓崇志)

アップデーター(東京都世田谷区、大石英司社長)は、再生可能エネルギー100%の電力料金プランの一つとして、非FIT太陽光発電所の環境価値付き再エネ電力をオフサイトPPA(電力売買契約)で供給しつつ、不足分を非化石証書付きのFIT電力で補う新しいプランを用意した。オフサイトPPAは、電力を消費する企業と電力小売り会社のアップデーター、非FIT太陽光発電所の発電事業者の3社間で締結する。オフサイトPPA分と不足分のそれぞれに従量料金単価を設定し、アップデーターが一括で供給していく仕組みである。

同社はこれまで特定卸供給のもとで調達したFIT電力を非化石証書付きで提供する再エネ100%の電力料金プランを提供してきたが、FIT電力の調達価格が卸電力市場の取引価格に連動するため、顧客にとっては市場高騰による価格上昇のリスクがあった。同社事業本部副本部長の真野秀太ソリューション営業部部長は、「オフサイトPPA分は長期かつ固定価格の供給となるので、企業は市場価格に左右されずに再エネ電力を調達できる」と説明する。

従量料金単価はオフサイトPPA分がkWhあたり15~17円、不足分が同20円前後を想定している。オフサイトPPA分については、「補助金の活用も視野に入れつつ、発電事業者からは同10円程度での買取りを見込んでいる」(真野部長)という。

電源となる非FIT太陽光発電所の開発では、太陽光発電所の開発やEPC(設計・調達・建設)を手掛けるグリーンシステムコーポレーション(栃木県宇都宮市)と提携し、すでにパネル出力13MW分の営農用太陽光発電所の候補地を確保したという。真野部長は、「営農用太陽光発電所や水上太陽光発電所は、周辺への環境負荷が小さく、地域活性化にも繋がることから非FIT開発に適している」としたうえで、「オフサイトPPAを望む企業との協議を進めながら建設していく予定だ」と話す。

同社は21年9月に花王らに対するオフサイトPPAを行うと発表し、22年2月から順次供給を始めている。真野部長は、「脱炭素化を進めるうえで、追加性を重視する企業が多い。(電力消費者が環境価値のみを直接取引する)バーチャルPPAも見据えつつ、消費者目線でより良い再エネを増やしていきたい」と語る。

脱炭素経営の本格化とともに電源追加性を持つオフサイトPPAを組み合わせた電力料金プランを目にする機会が増えそうだ。

オフサイトPPA用には水上太陽光発電所や営農用太陽光発電所を積極的に活用する方針

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