eye sight

NEC、オムロンが自己託送支援に本腰

NECとオムロンが相次いで自己託送の支援に乗り出す。NECは4月にもサービスを開始し、オムロンは自社施設で運用を始めた。自己託送の利用が広がりそうだ。

自己託送とは、企業などが遠方の太陽光発電所から電力系統を介して再生可能エネルギー電力を調達する仕組み。電力代が高騰するなか、自己託送の活用を検討する企業が増えた。ただ、自己託送を行うには、太陽光発電所の発電計画を立てて計画値と実績値を一致させる〝同時同量〟を実践し、差分(インバランス)が生じると、インバランス料の支払いが課せられる。発電量予測や発電設備制御など、専門の技術を要するため、自己託送を支援する再エネ企業が出てきた。

日本電気(=NEC)は2022年12月22日、太陽光発電設備の自己託送を支援するサービスを開始すると発表した。23年4月より発電計画の作成やインバランスリスクを管理するクラウドサービスを提供する。主に高圧以上の太陽光発電設備に蓄電設備を設置する企業や自治体を対象に28年度までに20以上のサービス提供を狙う。

同社は、一般の企業が自ら自己託送業務を担える仕組みを築いた。市場価格の安い時間に蓄電池に充電し、計画値に対して実発電量が下回りそうな場合に放電することでインバランス料金の支払いリスクを低減する。クラウド上で蓄電池を制御できるようにして利便性を高めた。

同社都市インフラソリューション事業部門第一事業開発統括部の遠藤秀浩サービスコーディネーターは、「19年から分散電源の活用を支援するクラウドサービスを提供しており、そのノウハウを活かした。高精度な予測と蓄電池制御が可能なうえ、計画値の作成から電力広域的運営推進機関への提供まで自動で行えるようにした」と話す。

同社は、1つの発電設備から1つの需要地への自己託送に対し、初期費用数百万円、月々15万円程度でサービスを提供する。通信規格がクラウドに対応しない場合は、蓄電池の通信規格に対応するように改良したゲートウェイを提供する。

遠藤サービスコーディネーターは、「ある事業所で余剰電力の活用を考えた際に今回のサービスの構想が浮かんだ。自己託送が注目されるなか、当社のサービスは自家消費の用途拡大にも寄与するはずだ」と話す。今後は複数の拠点間への対応や、運用代行の提供も検討していくようだ。

eye sight を読む

一覧を見る