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中インリー、持ち株会社を清算

メーカー保証は製造子会社で継続

太陽光パネルメーカーの中・インリーグループが、持ち株会社のインリー・グリーンエナジーホールディングスを清算する。太陽光パネルの保証債務を子会社に移し、履行する構えを示している。(本誌・川副暁優)

2020年9月24日、インリーは、複数の事業会社の株式を保有する持ち株会社のインリー・グリーンエナジーホールディングスを清算すると発表した。米国証券取引委員会に宛てた声明では、製造子会社のインリー・エナジーが抱える負債などを考慮すると、他の子会社の株式などはすべて相殺され、清算後に株主に分配するための資産はないとしている。管財人のもとで清算を進め、完了後に解散する計画である。

インリーは6月にも、巨額の負債を抱えた製造子会社、インリー・エナジーの業務再構築申請を行い、管財人の監督のもと再編を進めると発表していた。計画では、インリー・エナジーの債務の多くを同社の株式に転換して債権者に譲渡するデッド・エクイティ・スワップ(債務の株式化)で圧縮。主要な債権者である政府系金融機関などの管理下で整理したうえで、戦略的投資家に売り渡し、再建を図る算段だ。

その際、親会社のインリー・グリーンエナジーホールディングスが存続すると、子会社の再編にあたって手続きが煩雑になると予想したのだろう。かつてインリー・グリーンエナジーホールディングスはニューヨーク証券取引所に上場しており、いまなお多くの株主が存在しているはずだ。

製造子会社インリー・エナジーの再編は、計画通りに進めているようで、11月中旬にも内容が固まるようだ。そして、インリーグループがこれまでに販売した太陽光パネルのメーカー保証は、インリー・グリーンエナジーホールディングスからインリー・エナジーが引き継ぎ、履行していくという。インリージャパンを通じて日本に出荷された2.7GWに及ぶ太陽光パネルの製品保証や出力保証は継続されるようだ。

インリーは、太陽光パネルからセルやウエハ、インゴットのほか、ポリシリコン原料まで生産を拡大し、12年から2年連続でパネル出荷量世界トップに君臨した。一時は中国企業初のFIFAW杯のスポンサーになるなどして知名度も上げたが、競合他社との技術革新や価格低減の競争に敗れ、赤字に転落。15年には一部負債の返済期限が迫り、債務超過に陥る。

それでも、政府系金融機関の中国開発銀行などが返済期限の延長や追加の資金注入を続け、インリーを救済。インリーは経営破綻を免れ、これまで事業を継続してきた。

関係者の間では、インリー・エナジーのほか、日・欧・米・豪の各現地法人は、中国の国有企業の傘下に入るという話もある。また、インリーは、事業モデルや生産ラインを刷新して生産と販売を継続するという方針を示している。

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