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太陽光パネル価格高騰の真相

太陽光パネルの卸価格が2020年秋から高騰し、なかなか正常に戻らない。何が起きているのか。(本誌・平沢元嗣)

「2020年夏に比べ、W5円は上がった」。

ある中国太陽光パネルメーカーの営業担当者はそう打ち明ける。これまで太陽光パネルの卸価格の相場は下がり続け、一時はW単価20円台前半まで下がったが、20年秋から上昇に転じた。現在は取引量にもよるが、同20円台後半、30円手前まで値上がりしている。

 理由の1つに、材料費の高騰がある。とくにガラスの値上がりは深刻なようで、中・ジンコソーラーやトリナ・ソーラーらは20年11月、中国政府に「ガラスの市況が20年7月以降2倍へ上昇した」と訴え、対策を求めた。というのも、ガラス市況の高騰は、生産調整と環境負荷軽減を目的とした中国政府による18年からの工場新設規制が主因とされている。太陽光パネルの大型化や両面受光パネルが流行しているだけに、パネルメーカーにとってガラス高騰の影響は大きいのだろう。

さらにはポリシリコンの価格上昇だ。20年夏には中国のポリシリコンメーカー2社の工場でそれぞれ火災事故が発生したほか、豪雨災害の影響で工場の操業停止を余儀なくされたメーカーもあった。これにより、それまで1㎏あたり6.5米ドル(約700円)程度だったポリシリコンの平均価格が現在同10米ドル(約1080円)を超えている。

この2つの材料の値上がりが突出しているが、某パネルメーカー日本法人の社長によれば「すべての材料費が上がっている」ようで、ある材料メーカーの担当者は、「ガラスやポリシリコンの価格上昇に便乗し、他の部材メーカーも値上げ交渉をしている」という。

一方で、物流費の値上げを指摘する声もある。デュポン・スペシャルティ・プロダクツの柴田道男PVソリューション部門長は、「結晶系太陽電池の製造原価のうち材料費の割合は大きくない」とし、「輸送費の高騰が最も深刻だ」と強調する。

コロナ禍で船便の数が減少したうえ、各国の中国への輸出量が減った。コンテナの数が不足し、パネルメーカーはコンテナの確保に難航して輸送費が上昇しているというのだ。「航路にもよるが、コロナ禍前に比べ輸送費は2〜5倍にも跳ね上がった」との証言もある。

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長は、「コンテナの確保が難しければ、納期遅れにも繋がりかねない。運開期限が迫り、早くパネルを確保しなければならない買い手は、多少高くても購入するだろうから、メーカーはそうした顧客を優先するのかもしれない」と述べる。

太陽光パネルの高騰はいつまで続くのか。パネル用ガラスの設備増強を政府が認めたという情報もある。次第に正常化するとの見通しもあるが、コロナ禍の収束に時間がかかるとすれば、輸送費の高騰はしばらく続くかもしれない。

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