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太陽電池の特許侵害騒動

韓ハンファ、競合3社と対立

太陽光パネル大手の韓ハンファQセルズが、自社の特許侵害を巡り、ジンコソーラーら競合3社と世界各地で法廷闘争を繰り広げている。日本市場における3社の販売に影響が及ぶ可能性もないではない。(本誌・平沢元嗣)

ハンファQセルズは、中国太陽光パネル大手のジンコソーラーとロンジ・ソーラー、ノルウェーのRECグループに対し、自社が持つPERC技術の特許を侵害しているとして、2019年に米国、ドイツ、豪州で訴訟を提起した。PERCとはセルの背面に再結合を防ぐ保護膜を重ね、発電効率を高める技術だ。保護膜を安定的に形成する方法に関する特許をハンファは世界各国で取得している。ハンファによれば、3社の製品サンプルを独フラウンホーファー研究機構と分析し、同社の特許を侵害していることを確認したという。具体的な分析結果については明らかにしていない。

米国の裁判では、ハンファが国際貿易委員会(ITC)に特許侵害の調査を申請し、デラウェアの米連邦地方裁判所に特許侵害訴訟を起こしたが、ITCは20年6月、ハンファの訴えを退ける決定を下した。一方、ドイツでは、デュッセルドルフ地方裁判所がハンファの訴えを認めている。ただし、3社はこの決定を不服として控訴した。豪州での裁判はまだ判決が出ていない。今後、ハンファはフランスやスペインなど、欧州の他地域で訴訟を起こすことを検討しているという。

これだけであれば、特に日本のEPC(設計・調達・建設)企業や商社、販売・施工会社には影響がなさそうに思われるが、ハンファの特許を巡る争いは中国でも起きている。19年夏、ロンジが中国のCNIPA(国家知識産権局)に、ハンファが取得しているPERC技術に関する特許の無効を申し立てたのである。これについてCNIPAは20年11月、「ハンファの特許は部分的に無効である」と宣言した。

ロンジは、中国の証券業界向けの公式発表で、今回の件について、「重要な請求項のほとんどが所有者によって無効または補正された」とし、「当社の既存製品および将来の製品は、無効化請求した特許技術解決策とは大きく異なっており、現在、侵害のリスクはないと判断されている」と表明した。

ロンジの主張に対し、ハンファは次のように反論する。「判決文で一部無効と言っているのは、12年7月に登録された請求項中一部は削除されたという趣旨であり、審判進行中に自発的に修正した部分に対する言及だ。CNIPAは、当社が無効審判中に有効性を主張したすべての請求項に対して有効と判断している」。

いずれにせよ、CNIPAの手続きはハンファの特許が中国の特許法の要件に適合しているかどうかを審査するのみである。ハンファはまだ中国で3社に対する特許侵害訴訟を起こしていないため、直ちにロンジやジンコがPERCセルを製造できなくなるといった事態にはならないだろう。ただし、ハンファは現在中国で「積極的な法的措置を検討中」だという。

仮にハンファが提訴に踏み切り、その主張が認められればどうなるのか。国際特許に詳しい弁護士によれば、「中国国内での製品の製造や輸出は難しくなるだろう。すでに生産した製品分に関しては損害賠償の対象になる」と話す。日本に輸入される太陽光パネルの多くは中国で生産された製品ゆえ、これらメーカーの製品を安価に調達できなくなるかもしれない。

ハンファは、3社以外のメーカーに対しても、自社の特許を侵害していることを認識し、何らかの措置を講じることを検討しているという。

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