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総務省、経産省に現地調査強化の勧告

総務省は2024年3月、太陽光発電所に関するトラブル状況の調査結果を公表し、事業者への取り締まりを強化するよう経産省に勧告した。トラブルの防止に繋げる狙いだ。(本誌・土屋賢太)

総務省は2024年3月26日、太陽光発電設備の導入に伴うトラブルなどをまとめた調査結果を公表し、同日付で経済産業省新エネルギー課に地域トラブルの未然防止に向け、現地調査の強化や改善策を講じる措置を設けるよう勧告した。

勧告の背景には、太陽光発電設備の導入が拡大するなかで、不適切な開発や維持管理、関連法違反の事例が散見され、地域住民と再生可能エネルギー発電事業者の間でトラブルが相次いでいたからだ。

総務省は22年6月時点の太陽光発電設備の認定件数上位24都道府県の全市町村となる943市町村を対象に基礎調査を実施。回答が得られた861市町村のうち約4割で太陽光発電設備に起因するトラブルが発生していたという。さらに基礎調査や再エネ設備に関する条例の策定状況を踏まえ、121市町村を選定して実地調査を実施した結果、発電設備の開発段階や稼動段階においてトラブルが発生していたのだ。

具体的には、発電事業者による地域住民への説明不足や開発中の敷地や調整池からの土砂や泥水の流出問題のほか、設備の反射や騒音、標識や柵堀の未設置、雑草の繁茂などである。

総務省は23年8月に調査事例を踏まえて住民説明の要点を整理したうえで、経産省に情報を提供した。これにより、経産省の審議会で改正法の運用の議論に活用され、再エネ特措法施行規則の改定に反映された。

総務省行政評価局の玉置賢評価監視官は、「経産省に勧告したことで、地域共生型の再エネが広がると良い。市町村によるトラブル対応の負担の軽減も期待する」と述べた。

総務省からの勧告を受けて、経産省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー課再生可能エネルギー推進室の石丸嵩祐室長補佐は、「勧告内容に関しては、しっかりと対応していく」と話す。

経産省は再エネ特措法施行規則を改正し、24年4月1日に施行。新たに発電事業者に対し、説明会の開催などの事前周知を要件化したほか、委託先事業者に対する監督義務を課して関連法令の遵守の徹底や、違反事業者のFITやFIP(フィード・イン・プレミアム制度)の交付金を一時的に留保する措置を導入した。

なお、今回の改正法の施行により、経産省は森林法に違反していた発電事業者9社に対し、交付金を一時停止した。事業者が状況を改善すると、一時停止していた分の交付金を再び渡す。

そのほか、経産省は現地調査の予算を新たに設けて、関係法令違反が疑われる案件を洗い出しつつ、違反事業者に対して行政処分などを実施する方針だ。経産省の石丸室長補佐は、「不適切な案件を排除しつつ、地域と共生する再エネの導入を推し進めていきたい」としている。

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