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スマートテックが民事再生

JEPX暴騰で負債50億円

新電力会社のスマートテックが民事再生手続きに入った。JEPX価格暴騰による経営の悪化を立て直せず、自力での再建を断念した。(本誌・岡田浩一)

2月2日に東京地方裁判所へ民事再生手続きを申請した

スマートテック(茨城県水戸市、小寺雄三社長)は2024年2月2日、子会社の水戸電力とともに東京地方裁判所に民事再生手続きを申請した。同日付で東京地方裁判所より監督命令及び弁済禁止の保全処分を受けた。負債額は、スマートテックが約45億円、水戸電力が約4.8億円で、総額約50億円にのぼった。

スマートテックは21年1月に起きたJEPX(日本卸電力取引所)価格の異常高騰で経営が悪化。21年9月期には蓄電設備の販売を伸ばして売上高を前期比20%増の90億円まで伸ばしたが、東京商工リサーチによれば、スマートテックは21年9月期に1億1259万円の赤字を計上した。22年9月期には売上高を前期比33%減の60億円まで落とし、2億5354万円の最終赤字に陥ったという。

そこで同社は電力小売り事業を縮小しつつ、住宅用蓄電設備や自家消費用太陽光発電設備などの再生可能エネルギー設備の販売に力を入れた。だが、「コロナ禍の資材不足の影響で販売が振るわず、電力部門の赤字を補填できなかった」(スマートテック)。

同社は、所有する太陽光発電所を売却して数十億円規模のインバランス料の負債を返済する計画だったようだが、「22年の途中から支払が遅延していた」(取引先幹部)。24年1月には仕入れ先や工事の外注先などへの債務を弁済できなくなり、自力での再建を断念したという。

24年2月7日に都内で開かれた債権者向け説明会で、再生に向け現在、複数のスポンサー候補企業と交渉していることが明かされた。あるスポンサー候補の企業社長は、「スマートテックの再エネ設備の販売力には魅力がある」としている。

スマートテックは05年の創業後、主にオール電化製品を販売し、11年に住宅用太陽光発電設備の販売・施工に着手した。13年には太陽光発電所のEPC(設計・施工・調達)を開始し、14年に電力小売りに参入した。15年1月には水戸市のプロサッカークラブ『水戸ホーリーホック』との共同出資で地域新電力会社の水戸電力を設立。18年6月には〝卒FIT〟電力の買取りを始めていた。

2月7日には東京都内で債権者向けの説明会を開催して今後の方針等を語った

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