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揺らぐオフサイトPPA 経産省、大手電力優位の制度変更断行か

経産省が部分供給を廃止する代わりに『分割供給』を導入する案を示した。部分供給廃止案への反発を逸らした形だが、大手電力優位の制度変更を断行する構えだ。オフサイトPPAに暗雲が立ち込めた。(本誌・岡田浩一)

2024年6月17日、経済産業省は審議会で部分供給の代わりに『分割供給』を導入する方針を示した。これは、特定の電力消費者に大手電力会社と新電力会社問わず2社の電力小売り会社による分割供給を認めるというもので、特別高圧受電家や高圧需要家を対象とする考えだ。だが、従来の部分供給とは似て非なるものである。再び反発の声が上がりそうだ。

そもそも、部分供給とは、特定の電力消費者に、新電力会社が一定量の電力をベース供給し、 残りの電力を大手電力会社が負荷に追随して供給する形態を指す。大手電力会社は、電力消費者の要請があれば、新電力会社による部分供給に応じなければならず、大手電力会社の負荷追随供給はいわば〝義務〟だった。それゆえ〝非FIT〟太陽光発電所を活用したオフサイト型のフィジカルPPA(電力売買契約)が成立し、新電力会社が再生可能エネルギー電力を電力消費者に届ける仕組みが担保されていた。

だが、経産省は24年3月29日、このルールを廃止する案を示した。電力消費者はオフサイトPPAと電力小売り契約を1社にまとめて委託しなければならないという形にルールを変更しようとしたのだ。

これには、さすがに反発や不満の声が多く上がった。「再エネ電力の購入意欲の低下を招く」、「カーボンニュートラル(炭素中立)を目指す国の指針からずれた規制だ」、「再エネ電力の供給を目指す新電力会社の事業が立ち行かなくなる」といった反対意見から、「1回の議論で拙速に決めるべきではないという意見が出ていたにも関わらず、無視して強行突破を図ろうとしており、審議会軽視も甚だしい」といった批判もあった。

実際、PPAの多くが長期契約である。このルール変更が通ると、電力消費者は毎年見直せたはずの電力小売り契約が長期化されてしまう。しかも、再エネ電源しか活用できない新電力会社は事実上、オフサイトPPAによる電力販売を継続できなくなり、電力消費者は大手電力会社としか電力契約を結べなくなるのだ。明らかに電力小売りの自由化と逆行するルール改定であり、大手電力会社の独占供給体制を後押しする制度変更と言わざるを得ない。

これを受け、経産省は代わりに分割供給というルールを導入しようとしているが、これにも大きな問題がある。分割供給では、大手電力会社に課せられていた負荷追随供給の義務が撤廃されるからだ。分割供給が導入されてしまうと、オフサイトPPAを提供する新電力会社の多くが、大手電力会社に負荷追従供給を依頼することになるだろうが、大手電力会社には応じる義務がないため、新電力会社は断られる可能性もあるわけだ。

すでにオフサイトPPAを利用している電力消費者への影響も危惧される。分割供給のルールが通ると、経産省は部分供給を活用していた電力消費者に対し、25年4月までに分割供給への移行を求める方針だ。すると、「負荷追随供給に嫌々応じてきた大手電力会社が、契約を解除する可能性がある」(審議会委員)。

経産省は分割供給の仕組みを議論し、24年9月までに方針を固め、10月からは部分供給の新規受付を停止する算段だ。電力消費者や新電力会社がオフサイトPPAを安心して使えるよう制度変更を修正しなければ、電力小売りの自由化は形骸化しかねない。

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