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揺れる非化石市場 新制度移行も早期見直しか

非化石市場が2つに分かれる。2021年8月に始まった高度化法義務達成市場と、11月始動の再エネ価値取引市場であるが、早くも制度設計に対して批判が出ている。(本誌・中馬成美)

非化石市場とは、再生可能エネルギーなどが持つ非化石価値を電力と別に証書化して取引する市場である。『エネルギー供給構造高度化法』の制定によって、販売電力量が年間5億kWhを超える電力小売り会社は販売電力量に占める非化石比率を44%まで高めなければならなくなり、彼らの義務達成のために創設された。

もっとも、非化石証書には、FITを活用して開発された再エネ発電所の電力が生む非化石価値の『FIT非化石証書』と、主に大型水力発電由来の非化石価値の『非FIT非化石証書(再エネ指定)』のほか、原子力発電所などが対象の『非FIT非化石証書(再エネ指定なし)』まである。そしてこの3つの証書を、JEPX(日本卸電力取引所)経由で電力小売り会社が購入していたのだ。

この状況下、自治体の脱炭素宣言や企業の『RE100』加盟が増えるにつれ、証書を求める電力消費者が増加した。そこで電力消費者も証書を購入できる再エネ価値取引市場が創設されることになったが、同時に政府は従来通り電力小売り会社が高度化法の義務を達成するための市場として高度化法義務達成市場も創設し、非化石市場を二分した。

3種類の証書は振り分けられ、FIT非化石証書は再エネ価値取引市場で、非FIT非化石証書(再エネ指定)と非FIT非化石証書(再エネ指定なし)は高度化法義務達成市場でそれぞれ取引されることになったが、このとき政府がルールを大きく変更したため、批判が続出したのだ。

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