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中央電力、自己託送支援で 三菱HCキャピタルと合弁会社設立

電力小売りの中央電力がリース大手の三菱HCキャピタルと合弁会社を設立した。企業の自己託送を支援していく。(本誌・香遠優太)

電力小売り会社の中央電力(東京都港区、平野泰敏社長)は2021年10月20日、三菱HCキャピタル(柳井隆博社長)と共同出資で合同会社リネッツを設立した。一般の企業に対して、再生可能エネルギー電力の自己託送を支援していく。

リネッツは、自社の敷地内に自家発電設備を導入できない企業に対し、遠く離れた再エネ設備からの再エネ電力の託送で自家消費する自己託送を支援する。発電設備を開発・運営する業者の手配から、発電した再エネ電力を系統で送電する際の発電量予測や電力広域的運営推進機関への計画提出まで行う。複数の低圧太陽光設備の電力をまとめて送電することで、生産性を落とさずに追加性のある再エネ電力を供給していく。

自己託送を成立させるには、翌日の発電所の逆潮流量を予測し、計画値を提出して同量の電力を供給しなければならない。このため精度の高い発電予測技術が不可欠で、新規参入のハードルは高いとされている。

今回は、高圧電力を家庭用の低圧電力に分けて供給するマンション一括給電や電力小売りを手掛ける中央電力が知見や技術を発電量予測や送配電業者への計画値提出に活かす。同時に、三菱HCキャピタルの金融技術や取引先網を活用して資産の保有やEPC(設計・調達・建設)企業やO&M(管理・保守)業者の手配を行うという。

リネッツは、企業とPPA(電力売買契約)を交わさず、賃貸契約を結び、発電量に応じて料金を徴収する。契約期間は未定だが、15年以上を目安にするようだ。

事業の意義について、中央電力取締役執行役員の北川竜太エネルギー事業本部長は、「脱炭素化を背景に再エネ電力小売りの提案の幅を広げるなかで、今回の取り組みは、他社との差別化が図れるものであるうえ、潜在的な需要があると見ている」とし、三菱HCキャピタルと提携した理由については「両社の強みを相互補完できると判断したからだ」と話す。

リネッツは、まず関東地方で事業を展開する。第1号案件を21年度内に決め、22年度から本格化していく。総合的に支援を提供していくが、発電量予測などの単一サービスの支援も視野に入れているようだ。

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