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損保ジャパン、パネル被災時にリユース・リサイクル業者を紹介

火災保険の新特約で

積雪などで太陽光パネルが破損することも

損害保険ジャパン(西澤敬二社長)は2021年11月1日、SOMPOリスクマネジメント(東京都新宿区、桜井淳一社長)と、被災した太陽光パネルの保険金支払い時にリユース(再使用)やリサイクル(再資源化)業者を紹介する新サービスを開始したと発表した。発電事業者にリユースやリサイクルを促し、保険料への影響緩和や大量廃棄問題の解決に繋げたい考えだ。

同社はこのほど、太陽光発電所を対象とした企業向け火災保険に新たな特約を用意した。この特約は、自然災害で太陽光パネルに被害が生じた時に、発電事業者が直ちに損保ジャパンに相談するということを規定したもので、追加費用は発生しない。損保ジャパンは太陽光発電の専門的な知見を持つSOMPOリスクマネジメントと連携し、被災したパネルのリユースやリサイクルの可能性を判断したうえで、リユース・リサイクル業者を紹介する。現在2~3社の業者と提携しているという。

太陽光発電所が被災した場合、発電事業者の多くはEPC(設計・調達・建設)企業などに修理・交換に伴う見積もりを依頼し、それをもとに保険会社に保険金を請求する。交換費だけでなく、廃棄処理費も保険金の対象となるため、リユースやリサイクルの可能性が検討されることはそう多くないようだ。

ただ、企業向け火災保険の場合、契約期間中の保険金支払額によって、契約更新時の保険料が変動する。今回の新特約を活用し、被災パネルの一部をリユースやリサイクルできれば、廃棄処理費用を低減し、保険料の上昇を抑えられる可能性がある。

SOMPOリスクマネジメント取締役執行役員の花岡健リスクマネジメント事業本部長は、「これまでも被災時にリユースの可能性があるパネルはあったが、現時点でリユース市場が限定的なため、存在すら知らない発電事業者も珍しくなかった」という。そこで、損保ジャパンは発電事業者に対し、リユースやリサイクルを選択肢として提示できる新特約を開発したわけだ。

30年代の大量廃棄問題の懸念もあるなかで、リユース・リサイクル市場の確立は急務だ。これまで廃棄処理していた被災パネルをリユースやリサイクルに上手く回せる仕組みが構築できれば、社会課題の解決にも繫がる。損保ジャパン保険金サービス企画部火災新種グループの小山洲一郎課長代理は、「保険料への影響緩和などの利点だけでなく、リユースやリサイクルの社会的価値も訴求していきたい」と語る。

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