東芝、住宅用太陽光から撤退
エクソルにアフターサービス移管
東芝子会社の東芝エネルギーシステムズ(神奈川県川崎市、四柳端社長)は2023年2月3日、住宅用太陽光発電設備の販売を終了すると発表した。同設備のアフターサービス業務は3月15日以降、エクソル(京都市、鈴木伸一社長)に移管する。
同社は10年に自社ブランドの住宅用太陽光発電設備の販売を開始。国内勢では後発ながら、米・サンパワー(現マキシオンソーラー)製のn型バックコンタクトパネルを採用した高効率品を売り出し、市場占有率を伸ばしていた。
だが、海外勢との競争激化に加え、15年には不正会計問題が発覚し、経営危機に陥った。住宅用太陽光発電事業とは直接関係がなかったとはいえ、人材の流出を含め、販売への影響は避けられなかった模様だ。
17年10月の分社化を経て住宅用太陽光発電事業を東芝エネルギーシステムズで再建することになったが、前年の16年に東芝が白物家電業を中国企業に売却したほか、19年3月末には東芝ライテックが住宅用蓄電設備とHEMS(家庭内エネルギー管理システム)から撤退。グループ内の住宅関連事業との相乗効果が薄まっていた。
同社は21年春から住宅用太陽光発電設備の新規販売を停止しており、実質的に撤退していたとも言えるが、このほど正式に終売を発表した。累計販売数は約10万件で、アフターサービスは23年3月15日以降、エクソルに移管する。
なお同社は今後、産業用太陽光関連に力を注ぐ方針だ。EPC(設計・調達・建設)やO&M(管理・保守)事業に加え、20年には独・ネクストクラフトベルケと提携し、再生可能エネルギー発電所の発電業務支援にも進出、この1年実績を積み重ねている。研究開発中のフィルム型ペロブスカイト太陽電池とともに事業拡大を目指す構えだ。