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中電ミライズ、住宅用PCSの交換費負担サービス開始

余剰電力と引き換えの月額制

中部電力ミライズ(大谷真哉社長)は2021年10月1日、稼働後10年以上経った住宅用太陽光発電設備のPCS(パワーコンディショナ)の交換費を負担するサービスを始めた。余剰電力を譲受しつつ利用料を徴収して交換費を支給する。住宅用太陽光発電設備の長期稼働を支援し、顧客を囲い込む構えだ。

同社が始めた『太陽光長期稼働サポートサービス』では、利用者から余剰電力を譲り受ける対価として30万円を支給し、PCS交換費などに充当してもらう。交換後、利用者は10年契約のもと、余剰電力を無償で譲渡しつつ中電ミライズに月額1980円の利用料を支払う。中部電力管内で設置後10年以上経った出力10‌kW未満の住宅用太陽光発電設備が対象で、事前の設備点検やPCS交換などはグループ会社のe−暮らし(名古屋市)が担う。交換機は、利用者の要望などを踏まえて選定され、追加費用がかかる可能性が高いもののハイブリッドPCSへの交換も可能なようだ。事前の点検料は、利用者が契約すれば無料で行う。

中電ミライズ事業戦略本部再生可能エネルギーサービスグループの浅井拓見副長は、「再生可能エネルギー電源の新規開発が盛んだが、既存設備を長く利用することも重要で、今回のサービスを開発した」と経緯を説明する。

耐用年数10~15年のPCSが故障することも多く、交換費が20~30万円かかるために止まったままの設備もあるようだ。この場合、利用者は売電収入が得られないばかりか、災害時に活用もできないうえ、事故リスクが上昇する恐れもある。そこで同社は今回のサービスを始めたという。

むろん、利用者は交換費の初期負担こそないものの、月額の利用料を10年間支払い、余剰売電収入が得られない。自ら交換費用を負担した方が得であるが、交換費用を捻出できない利用者にとっては新たな選択肢となりそうだ。浅井副長は、「すでに故障後に放置していた人からの問い合わせもある」と明かす。

同社は近年、脱炭素化に取り組み、CO2フリー電力や省エネルギー提案のほか、自家消費用太陽光発電などの導入を進める。今回のサービスはその一環である。

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