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PVeye 2021年7月号

特集「O&Mから廃棄処理まで 太陽光運用ビジネスの深層」

稼働済み太陽光発電設備の運用ビジネスは幅広い。O&M(管理・保守)や中古売買、修繕や交換、さらにリパワリング(改修による発電増)や廃棄処理まで。どれも太陽光発電設備の長期安定稼働には欠かすことのできない事業だ。太陽光運用ビジネスの深層に迫る。

 

安定市場に淘汰の波⁉
日進月歩のO&M

太陽光発電所の安定稼働を支えるO&M。市場が成熟するなか、
期待される役割が変わりつつある。淘汰が進むかもしれない。

 

FITを活用して運転を開始する太陽光発電所の数量が格段に増えた。とくにここ数年、出力2MW以上の特別高圧太陽光発電所が毎年100件前後稼働している。特高太陽光発電所の累計稼働量は2020年12月末時点で731件11GWに及び、それとともにO&M市場が拡大している。

 

アフターフィットが競争力強化
O&M最安で120万円/MW

再生可能エネルギーベンチャーのアフターフィット(東京都港区、谷本貫造社長)が、O&M(管理・保守)の提供価格を法定点検含めて1MWあたり最安で120万円まで抑えたという。価格競争力を強めている。

 

スマート化で効率的に
進化するO&M技術

太陽光関連市場では様々な技術発展があるが、O&M技術も進化している。効率化や高度化に向け、最新技術を取り入れるなど、試行錯誤が続いている。

 

太陽光発電所を常時監視しながら、定期的に点検し、除草作業や太陽光パネルの洗浄も行う。緊急時には現場に駆けつけ、修繕して長期安定稼働を支える。そんなO&M(管理・保守)業務は労働集約型で、効率化や高度化が費用削減、延いては事業収益性の向上に繋がる。新製品やシステム開発の動きが活発だが、キーワードは〝スマート保安〟だ。

 

ウエスト、RPAやドローンでO&M合理化

太陽光発電所の建設大手、ウエストグループが遠隔監視業務の省人化を進めつつドローン点検の全面導入を計画。O&Mの効率を高め、契約量1GWを目指す。

 

しばらくは売り手市場か
成長続く中古市場

売り手市場と化している太陽光発電所の中古市場。脱炭素化の追い風もあり、この傾向はまだ続きそうだ。

 

適地の減少や系統制約、売電単価の減額などで収益性が低下し、太陽光発電所の新規開発のハードルが上がっているなかで、稼働済みの太陽光発電所を売買する中古市場への注目度は高い。中古太陽光発電所には一定期間の稼働実績があることから、開発や建設に伴うリスクが低い点も特徴だ。

 

中古取引でも必須
需要増す太陽光発電所の評価・診断

太陽光発電所の評価・診断の需要が高まっている。新たに稼働する太陽光発電所の増加に伴う竣工前検査が増えたうえ、中古取引での利用が広がりつつある。

 

太陽光発電所の資産価値を評価するDD(=デューデリジェンス、適正評価手続き)は、新設時だけでなく、稼働済みの太陽光発電所に対しても実施される。とくに設備の性能や品質、リスクなどを評価する技術DDでは、太陽光発電の専門的な知見や技術が必要で、O&M(管理・保守)企業や点検機器メーカーが手掛けることも多い。最近は中古取引の際に、第三者的な立場からの技術DDを求められる場面が増えている。

 

注目商材はPCS
拡大基調のリパワリング・機器交換

FIT開始から9年が経ち、間もなく折り返し地点を迎える太陽光発電所が現れる。リパワリングや機器交換の需要が伸びそうだ。

 

稼働済み太陽光発電所の増加に伴い、設計の見直しや機器交換で出力改善や発電量の引き上げを狙うリパワリング(改修による発電増)への期待が大きい。

 

蓄電池販売だけではない
住宅向けの意外な商機

蓄電設備販売が本命の住宅向け運用ビジネスに、意外な商機がありそうだ。

太陽光発電設備が設置されている住宅を対象に最も盛り上がっているのが蓄電設備の販売だ。非常用電源として、あるいはFITの売電期間が終わる〝卒FIT〟設備の自家消費率向上の手段として、販売会社が蓄電設備を提案している。

 

発電側課金、23年度導入へ
1MWあたり年50万円負担も

発電側課金制度が施行されると、全量自家消費用や住宅用太陽光発電を除く発電設備が課金の対象となる。太陽光発電の事業者は1MWあたり年50万円近い負担が課せられる可能性もある。

 

FIP始動で新商機!?
再エネアグリゲーション

2022年度からFIPが施行する。FIPルールの発電事業で収益性を見出せれば、新たな商機が到来するはずだ。再エネアグリゲーションである。

 

「FIP(フィード・イン・プレミアム制度)を活用した発電事業を検討している方の相談が多いが、FITからFIPへの移行に関する相談も少なくない」。
そう語るのは、三菱総合研究所イノベーション・サービス開発本部電力新事業グループの三浦大助主席研究員だ。同社は2021年5月、分散電源の運用支援の一環で、FIPを検討する発電事業者に対して蓄電設備の導入効果やJEPX(日本卸電力取引所)取引価格の予測も合わせた事業性評価を始めており、アグリゲータや蓄電池メーカーへのサービス提供も視野に入れている。

 

再資源化と再使用でコスト低減を
潜在需要膨らむ使用済みパネル処理

2030年代後半から大量に発生する使用済み太陽光パネルの量は年間30万tとも言われており、市場の拡大は必至だ。商機を探る。

 

ここ数年、自然災害が多発し、被災した太陽光パネルの処分を求める声が多かった。最近は、太陽光パネルの交換まで含めたリパワリング(改修による発電増)を検討する発電事業者も出始めており、中間処理業者への相談が増えているようだ。

 

22年以降に大量発生  道半ばの使用済み蓄電設備対策

2022年から使用済み住宅用蓄電設備が
出始める。処理体制の構築について
新たな課題が浮上した。

 

「蓄電設備は可燃物。日本のメーカーは個別に処理体制を築いたが、海外製品が流入しており、業界全体で処理対策を整備していかなければならない」。
そう訴えるのは、JEMA(日本電機工業会)重電・産業技術課の小川晋課長である。
住宅用蓄電設備は、ニチコンが12年にJET(電気安全環境研究所)認証を取得したことを契機に普及した。設備の保証期間が10年程度だから、早ければ22年から使用済み製品が出始める。使用済み蓄電設備の処理責任は所有者にあるが、メーカーが処理業者と提携して独自に処理体制を構築している。ただ、現状は排出量が少ないため運搬効率が低く、処理費は高額だ。所有者の負担であるため、放置される可能性も否定できない。処理費の低減は課題である。

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【中部】

トヨタが脱炭素宣言 再エネ需要に追い風

トヨタが脱炭素化に本腰を入れた。サプライヤーにも脱炭素経営を求めており、中部では自動車業界を中心に再エネの需要が拡大しそうだ。

  
      

太陽光部材の高騰続く
架台卸値50%上昇

太陽光発電関連部材の価格が高騰している。太陽光パネルに続き、2021年からは架台の値段も上昇した。20年と比較し、50%程度の値上げ幅を見せている。

 

エコスタイル、自己託送支援を開始
RE100、地産地消を下支え

太陽光発電所の建設や電力小売りを手掛けるエコスタイルが自己託送の支援を始めた。非FITの太陽光発電所が生み出す環境価値付き再エネ電力の利用を広げていく狙いだ。

 

パナソニック、純水素燃料電池と
太陽光の実証開始へ

パナソニックが、純水素燃料電池と太陽光発電に蓄電設備を用いた実証試験を始める。再エネと水素によるエネルギーの効率運用を探る。

         
 
               
       
          
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
         

Vol.62 葛尾スマートコミュニティ太陽光発電所

福島県葛尾村の地域新電力会社である葛尾創生電力が、2020年12月に建設したメガソーラーで、同社は発電した電力を蓄電容量3000kWhの米・テスラ製蓄電設備にためつつ、自営線で約130件の消費者へ供給している。

 

価値の複合化が普及の鍵

価格低減への課題があるものの、多方面で期待される蓄電池。どれほど普及するのか。『定置用蓄電システム普及拡大検討会』で座長を務めた明星大学の伊庭教授が語った。

明星大学
理工学部総合理工学科電気電子工学系 
伊庭健二 教授

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「交流蓄電池と昇圧回路で蓄電容量30%増実現」

エーシーバイオード 久保直嗣 社長

蓄電池ベンチャーのエーシーバイオード(京都市)が交流蓄電池の商用化を狙う。昇圧回路との組み合わせで蓄電容量を30%増量でき、価格低減に寄与できるという。久保社長に詳細を聞いた。

 

【太陽光パネルの設置義務化】

新築住宅は見送りか

まずは公共施設から

2020年秋以降、50年までのカーボンニュートラル(人為的な温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向けた動きが加速しているが、住宅を含む建築物においても、省エネルギー化を促進し、再生可能エネルギーの利活用を進められるよう対策を強化していく必要がある。いわゆるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の推進だ。国土交通省は経済産業省や環境省とも連携し、21年4月に検討会を立ち上げ、議論に着手した。

 

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[CIS系太陽電池]
産総研&トヨタ、軽量でフレキシブルなCIS系太陽光ミニパネルで

世界最高効率18.6%車載用の実用化へ前進か

産総研は2021年5月31日、トヨタと共同で、軽量でフレキシブルなCIS系太陽電池で世界最高の変換効率18.6%を達成したと発表した。車載用など従来設置困難だった場所で活用できるかもしれない。

 

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トレンディ、蓄電設備付きPPA+小売り開始
中・ジンコ、n型単結晶セルで世界記録
メンバーズ、非FIT太陽光発電所稼働へ
リミックスポイント、ハイブリッド型蓄電設備発売へ
会津コンピュータサイエンス研究所ら、AI蓄電設備の実証開始
ウェザーニューズ、電力市場取引向けに気象データを拡充
CO2O、本社移転
米テスラ、大型蓄電設備3000kWh初納入
VPPジャパン、PPAの余剰電力買取り開始

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第24回 新電力の容量市場対策④

電源調達法を改善せよ

新電力コンサル、アンプレナジーの村谷社長による本連載。今回から、新電力会社の電源調達方法について解説していく。

  
           
       
         

第10回 自家消費提案②

読者のお悩みにお答えする本連載。前回に続き、太陽光発電の自家消費提案に関するものを集めた。

Q、全量自家消費では、定期的にPCS(パワーコンディショナ)が停止すると聞いた。回避する方法はあるか。
Q、自家消費用の太陽光発電設備を設置する際に、施設を一時停電にしなければならない場合があると聞く。よい対処法はあるか。
Q、法人向けPPA(電力購入契約)事業者からの営業や施工依頼が増えたが、設備を販売できないため大きな収益が期待できない。受けるメリットはあるか。
Q、自家消費向け補助制度が年々増えているが、内容に変化はあるのか。

 

カナディアン・ソーラー・ジャパン
旧世代品と互換性のある太陽光パネル発売

 

ネクストエナジー・アンド・リソース
両面発電などパネル2種発売

 

リープトンエナジー
182㎜角ウエハ搭載パネルの製品群拡充

 

オムロンソーシアルソリューションズ
6.5kWhの蓄電池発売へ

 
       
       

第14回 デマンドレスポンス

電力の市場価格の高騰や需給逼迫を緩和する方法として期待されているデマンドレスポンスを解説する。

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世界市況データ(ポリシリコン、ウエハ、セル、モジュールスポット価格)/日本企業の太陽光パネル出荷量推移/日本卸電力取引所におけるスポット市場の平均取引価格推移/東証インフラファンド市場における上場銘柄の株価推移/都道府県別のFIT太陽光発電導入量

 

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発刊日 2021年06月25日
定価 1,980円
コード 80109-6 4910801090611 01800

PVeye 2024年5月号

機器交換から蓄電池併設まで 徹底解説!太陽光発電所バリューアップ術

発刊日:
2024年04月25日
定価:
1,980円

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PVeye 2024年4月号

安定成長に漂う不透明感 オンサイト太陽光最前線

発刊日:
2024年03月25日
定価:
1,980円

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PVeye 2024年3月号

過熱する開発競争 蓄電池ビジネスの全貌

発刊日:
2024年02月24日
定価:
1,980円

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PVeye 2024年2月号

再生可能エネルギー 市場別分析2024

発刊日:
2024年01月25日
定価:
1,980円

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PVeye 2024年1月号

飛躍の年になるか 再エネ大予測2024

発刊日:
2023年12月25日
定価:
1,980円

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