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PVeye 2024年6月号
特集「新時代の有力企業はどこか 太陽光業界勢力図2024」
再生可能エネルギーの導入機運が高まり、脱炭素新時代を迎えた太陽光関連市場。企業間連携や協業の動きが拡がっている。成長路線に乗る有力企業はどこなのか。最新の太陽光業界勢力図を解き明かす。(本誌・楓崇志、岡田浩一、土屋賢太)
❶[太陽光パネル]
4強が年50GW超出荷 n型単結晶時代に突入
いまや導入量が500GW規模に達している世界の太陽光パネル市場。その牽引役は、ジンコソーラー、ロンジ・グリーンエナジー、トリナ・ソーラー、JAソーラーの中国4強だ。各々パネルの出荷量が年間50GWを超え、2023年は4社合計で264GWと、世界市場の半分以上を占有した。4強を追うトンウェイやカナディアン・ソーラーの出荷量が30GW規模にとどまることからも、4強は頭一つ抜きん出た存在である。
❷[住宅用再エネ設備]
新製品開発が加速 勢力拡げる海外勢
住宅用太陽光発電設備メーカーの勢力図は、シャープ、パナソニック、京セラに長州産業を加えた国内4強を加・カナディアン・ソーラーと韓・ハンファが追うという構図だ。
❸[太陽光用PCS]
顔触れ変わらず 主戦場は蓄電池用に
FITを活用した太陽光発電所の新設案件が減り、環境価値を有する〝非FIT〟電源の開発が本格化しているが、太陽光発電用PCS(パワーコンディショナ)の勢力図には大きな変化はない。とはいえ、新規開発案件を見ると、大規模な開発行為を伴う特別高圧発電所の数は少なく、高圧や低圧の太陽光発電設備の開発が中心だ。それだけに、近年は高圧・低圧領域で強さを発揮してきた中・ファーウェイ(華為技術)の存在感が高まっている。
❹[EPC]
問われる施工品質 蓄電池EPCに商機あり
太陽光発電設備のEPC(設計・調達・建設)の事業領域では、自家消費用太陽光発電設備の屋根上設置と〝非FIT〟の太陽光発電所の建設が中心である。EPC企業には、これまで以上に価格競争力が求められ、屋根上設置では施工品質が問われている。
❺[産業用・系統用蓄電設備]
系統用や併設型が開花へ 産業用は雌伏の時か
中・大型の産業用蓄電設備や系統用蓄電設備の導入機運が高まるなか、特に系統用蓄電設備の需要が急速に拡大しそうだ。国や東京都の補助事業に加え、『長期脱炭素電源オークション』が始まる一方、調整力を取引する需給調整市場が全面開設し、系統用蓄電所の建設計画が相次ぐ。ただ系統連系工事に時間を要する案件も多いだけに、まずは高圧案件から稼働し、2025年以降に特別高圧案件の運転が本格化するだろう。
❻[屋根上架台]
地の利を生かす日系勢 活況の陸屋根架台開発
日本の屋根は種類が多いためか、屋根上用の太陽光架台では日系勢が強い。実際、愛知県西三河地域の屋根技術研究所、栄信、動力の〝三河3強〟と、新潟県燕・三条地域に本拠や工場を構えるサカタ製作所とスワロー工業、ニイガタ製販の〝新潟3強〟が市場を牽引。ダイドーハントやカナメ、奥地建産らも存在感を高めている。
❼[特殊架台]
拡がる潜在需要 普及の鍵は価格低減
オンサイト太陽光発電設備が普及するなか、駐車場や遊休地に置く太陽光パネル搭載カーポートや垂直架台といった特殊架台が俄かに注目されている。
❽[非FIT太陽光発電所開発]
活況続くも難易度上昇 CEC、低圧1500基稼働
脱炭素化を背景に、環境価値と追加性を有する〝非FIT〟太陽光発電所の開発が活況だ。主にオフサイトPPA(電力売買契約)や電力小売り会社の再生可能エネルギー電力プラン用に使用されており、企業間提携や協業が進んでいる。ただ、電源開発と電力消費者の要望が必ずしも一致しないため、時間軸を含めていかに需給を合わせられるかが事業拡大の鍵を握る。
❾[法人向けオンサイトPPA]
安定成長期に突入 対応力が事業拡大の鍵
企業や団体の施設や遊休地に太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギー電力を販売する法人向けオンサイトPPA(電力売買契約)。脱炭素経営が本格化するなか、オンサイトPPAは広がり、すでに1GW超の設備が稼働している状況だ。
❿[O&M]
M&Aや事業移管続々 蓄電所管理に新商機
運転を開始する太陽光発電所の増加に伴い、O&M(管理・保守)市場は拡大しているが、主要企業は大きく変わっていない。ただ、この数年で事業の移管や資本の変更などが進んでいる。
⓫[再エネアグリゲーション]
拡がる発電業務代行 蓄電所運用へ新展開
再生可能エネルギー発電所の発電業務を代行するアグリゲーションの領域では、東芝エネルギーシステムズやエナリス、テラスエナジー、RE100電力らが先行して事業化を進めてきた。2021年には太陽光発電所の発電量を予測する精度を高め、発電計画通りに電力系統へ実供給する技術を確立。ほどなくして〝非FIT〟の太陽光発電所を持つ発電事業者に対し、アグリゲーションをサービスとして提供し始めたのだ。
⓬[パネルリサイクル]
中間処理業へ参入続々 課題はガラスの再資源化
廃棄される太陽光パネルの適正処理体制の構築は急務だが、パネルの廃棄量が少ないなか、中間処理業者の装置稼働率は低い。それでもJPEA(太陽光発電協会)によると、廃棄パネルを処理できる中間処理業者は44社存在するという。実際、中間処理業を始める企業もあり、サニックスやトクヤマなどが参入を模索している。
【PR企画】
脱炭素新時代を拓く!
注目の再エネ関連製品
脱炭素化と電力代の上昇を背景に再生可能エネルギーの需要が高まり、様々な再エネ関連製品が登場した。注目の製品を紹介する。
脱炭素電源競売で蓄電池1GW強落札 落札価格は kW2万円台か
初開催の長期脱炭素電源オークションで応札量の4分の1にあたる計1092MWの蓄電池が落札された。同時期に収入を固定化する民間主導のオフテイク契約も成立し、系統用蓄電所の開発が本格化しそうだ。(本誌・楓崇志)
太陽光発電所にサイバー攻撃
遠隔監視システムが標的に
太陽光発電所が悪質なハッカーによるサイバー攻撃を受けた。セキュリティが脆弱だった遠隔監視装置のシステムが標的になった。(本誌・土屋賢太)
サンヴィレッジ、丸紅新電力と資本業務提携
太陽光発電所のEPCを手掛けるサンヴィレッジは2024年5月1日、丸紅新電力との資本業務提携を発表した。向こう5年で太陽光発電所を100MW開発する構えだ。(本誌・楓崇志)
再エネ抑制量19億kWh超え
前年度比3.3倍増
再エネの出力抑制量が急増している。2023年度は前年度比3.3倍の19億kWhを超えた。24年度はさらに増えそうだ。(本誌・土屋賢太)
Vol.97
朝来バイオマス発電所
大東建託が2023年9月に関電エネルギーソリューションと兵庫県森林組合連合会から譲受したバイオマス発電所。
東京ガス、系統用蓄電事業に参入
運用代行を初受注
東京ガスが本格的に系統用蓄電事業に乗り出す。他社の系統用蓄電所の運用代行も始める。
再エネ企業の短期経済観測調査(1〜3月)
パネル価格減続くも横ばい基調
再エネ関連企業の経済動向を把握するため、短期経済観測調査を32社に実施した。太陽光パネルの価格は下がり続けているが、他の商材の価格は横ばい、もしくはやや上昇した。
「安全な建築物としての太陽光カーポートを広めたい」
日創プロニティ 大里和生 専務取締役
太陽光カーポートの製造からEPCやPPAまでグループ内で請け負う日創プロニティ。EPC子会社である日創エンジニアリングの社長を兼務する大里専務に近況を聞いた。
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J・システム、屋根上設置の新工法をライノジャパンと開発
長期防水保証を付与
米・テスラ 住宅用蓄電設備の代理店募集
ソーラーフロンティア、東急グループと太陽光発電所開発で協業
26年度までに30MW
まち未来製作所、再エネ電力買取10億kWhへ
NTT東日本、銅線ケーブル 盗難対策の警備システム開発
ループ、住宅用ハイブリッド型蓄電設備発売
中・ジンコ、ドイツ最大の太陽光発電所にパネル650MW供給
[第59回]
容量拠出金対策③
電力消費者の負担軽減策
2024年4月より新電力会社に容量拠出金が課せられることとなり、電力料金に転嫁する新電力会社が出始めた。アンプレナジーの村谷社長が電力消費者の立場から対策を解説する。
世界市況データ(ポリシリコン、ウエハ、セル、モジュールスポット価格)/主要企業のポリシリコン生産能力/日本卸電力取引所におけるスポット市場の平均取引価格推移/需給調整市場の落札結果(2024年4月1日~30日)/国内太陽光関連企業 決算データ
「信頼を失うは一瞬、取り戻すのは一生」
ダイヤゼブラ電機 エネルギーソリューション本部第2営業部営業1課 山崎 大吉氏
再エネ企業の有望な人材を取り上げる本コーナー。住宅用蓄電設備を製造するダイヤゼブラ電機の山崎氏に仕事観を聞いた。
[うきは市]
脱炭素先行地域に採択された福岡県うきは市は、農業や観光業の活性化と脱炭素化を両輪で進めていく。市の脱炭素構想に迫った。
発刊日 | 2024年05月25日 |
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定価 | 1,980円 |
コード | 491080109054301800 |